Dream Story
Genealogie de la priere
00【Prologue】 01【Journee de la Paix】bakura 02【Journee de la Paix】votre


⇒+ aller a TEXTE +
⇒+ aller a principal +


「こんの餓鬼共!!待ちやがれぇ!!!」
「いっけね…テメェらずらかるぞぉ!!」
「逃げろぉーっ!!!」

 皆散り散りになり走り出す。
この村に一軒しかない酒場。
其処に忍び込んでは細々と食い物をくすねてくる。
大雑把な女中が居る時ならば見逃してもらえるが…今日は生憎不在だった様だ。
厨房に忍び込み、パンに手を延ばしたところで見付かった。
ま、勿論手にしたお宝は、しっかりと頂いて来たがなぁ!!
 散り散りになったオレ達に、一瞬どいつを追うか迷った酒場の親父は出遅れる。
餓鬼だからってなめてもらっちゃあ困るぜ。


 何時もの光景。
オレ達はこのまま逃げ切り、何時もの場所に集まりお宝を山分けする…筈だった。

「あっ!!」

 だがしかし…不運にも…今日は奴が居たのをすっかり忘れていた。
しんがりを勤めていたオレの目の前で小さい悲鳴と共にすっ転んだ白い塊の愚図。

「チィッ…なぁにやってんだこの馬鹿!!」
「ご…ごめん…。」
「待てぇ!!」
「う、うわあぁ…!!」
「立て!!逃げねぇと取っ捕まるぞ!!」

 オレは蹲ったままのろのろと立ち上がろうとする腕を強引に掴み立ち上がらせ走り出す。
もう少し、この先の角を曲がってしまえば−オレ様の勝ちだ!!

「…も…ちょ…ゆっくり…!」
「馬鹿言ってんじゃねぇよ!!」

 更に手に力を込め、細い腕を握り加速を付ける。
もう少し。もう少しだ。

「すっ転ぶなよぉ…?行くぜ!!」

 そのまま勢い良く路地を曲がる。
其処は−

「いっ、行き止まりだよぉ!?」
「んな事ぁ解ってんだよぉ!」

 行き止まり−土壁に辿り着き、やっと足を止める。
立ちはだかる土壁と建物。
其処には小さな隙間。

「さっさと入りやがれ!!」
「えぇ?此処に?こ…怖いよぉ…。」
「馬鹿言ってんじゃねぇよ!テメェ取っ捕まりたいのか!?」

 ぐずる小さな身体を隙間に捩込みオレも続く。
この先を抜ければ…!
 後ろから親父の怒鳴り声がする。
如何やら完全に見失った様だ。
面白ぇ。

「…そこ曲がれ。」

声を落とし指示を出す。
オレからすれば何を愚図愚図しているんだと思うが…
本人もそれなりに必死な様なので文句は言わないでおいてやる。
 間も無く目の前に現れる土壁の裂け目。
其処に身体を滑り込ませる。

「あ…あれ?此処って…?」
「とっとと出やがれ!!」
「うわぁ!?」

 此処迄来れば問題無い。
何時も通りの声量で怒鳴り付けながら出口で間誤付いている先客の後ろ姿を蹴り倒す。
ったく…一々もたもたしやがって…。
白い邪魔な壁が無くなった先には、さっき迄一緒に居た連中が雁首並べてオレ達を待って居た。

「おぉーい!遅かったなバクラー!!」
「心配したぜー!?」
「おぅ!全部こいつのせいだ!!」
「ぎゅっ…」

 地べたに転がったままの背中を踏み付けると面白ぇ音がした。

「なんだ、またヘマしたのか?リョウは…。」
「みんな足早いねぇ。ははっ。」
「テメェが遅ぇんだよ!!」
「いたたたたっ!!痛いよ止めてよバクラ!!」

 踏み付けた足に力を入れ怒鳴り付けると皆一斉に笑い出す。
足の下でばたばたともがくリョウを見るのは面白いが、オレはいい加減皆の所へ向かう。
リョウは身体を起こしたものの…まだ地べたに座り込んだままだ。

「…なぁにやってんだ。早く来いよ。」
「うん!!」

 立ち止まり声を掛けると、ぱっと顔が明るくなる。
全く…こいつ、オレ様が居ねぇと何も出来やしねぇ。
本当に仕方無ぇ奴だぜ…。
小走りでオレの横に並ぶリョウを待ってから、オレ様は漸く皆の待つ地下神殿の入口へ向かった。