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Dream Story
- Les autres me
- 16.【La privation de sommeil】 17.【Tous les jours des gens】 18.【Premiere Duel】 19.【Premiere Victory】 20.【traitant】-Si Ryou- 21.【traitant】-Si Bakura- 22.【Faible fievre】 23.【Surrender】 24.【Explorez】 25.【Rencontres】 26.【Garnet】
- 【Premier transfert】-N゚ 01〜15-
- ⇒+ remise +
- ⇒+ aller a TEXTE +
- ⇒+ aller a principal +
『終わったみてぇだなぁ…。』
宿主の中から見ていたしょーもねぇへっぽこデュエルも、授業開始を告げる鐘の仲裁で漸く終わった様だ。
全く…下らな過ぎて飽き飽きしたぜ。
やっと終わったと思い清々していたデュエルの講釈を態々器の遊戯が始めた時、オレ様がどんなにげんなりしたか解るか?
城之内とど素人の小娘のデュエルの解説なんざ、ちんたら聞かされるこっちの身にもなってみろ。
退屈過ぎて死んじまうぜ。
オレ様にとってこの中断は、少なくともこの状況が一変する足掛かりとなるのであればありがたい物だった。
「じゃあさ!今日の放課後は?」
「いっ…今日の、放課後?」
器の遊戯の言葉に女は見るからに都合が悪いと言う反応を見せた。
ほぉ?やっとチャンス到来って訳かぁ?
こいつの周りには何かとごちゃごちゃ人が居やがる。
遊戯の取り巻き共から離れてくれるのなら…オレ様にとってこれ以上の機会は無い。
「こらぁ!何時までくっちゃべってんだそこぉ!!」
奴等は散り散りに走って行く。
宿主の中から見るこの世界は退屈だ。
毎日毎日同じ事の繰り返し。
こんな事してて…何が面白いのかねぇ?
だが…何時もと変わらない日々も、今日は少し違う様相を見せる。
特にする事の無ぇオレ様は意識半分に教師の話を聞いていた。
宿主の心の奥に引っ込んじまっても良かったのだが…そのお陰で面白ぇもんが見れた。
何時もは良い子に黒板の模写をしている宿主の視線は斜め横。
一体何を見ているのかと思えば…視線の先にはあの女。
…とか言ったか?
あいつが現れてからというもの…こいつは決定的に変だった。
目立たない様にと心掛けて生きている筈の宿主は、教室に入って来たあの女を見て急に立ち上がり大声を出したり、
あの海馬に噛み付いてみせたり、何時もなら受け流す様な事にも一々感情を露にしたりする。
昨日の一場面が脳裏に過ぎる。
−例えば…大丈夫!君には僕がついてる!!とか言ってさ!−
−いや、勿論ボクはそうしたかったんだけど…。−
思い出して身の毛が弥立つ。
何言ってんだこいつ…!!
脳味噌沸騰してんじゃねぇのかぁ?
オレは度々宿主を身体を無断で拝借しては勝手に動き回っている。
オレ様の完璧な演技は誰にも見破られはしないと自負しているが…あんな真似だけはごめんだぜ。
「それじゃあ此処まで。」
気が付くと先程までの授業は終わった様だ。
直放課後になり、あの女は用事とやらで消えて行く。
さぁて…如何やって近付いたものか。
オレ様には確かめておかねぇといけねぇ事がある。
昨日から−あの女が現れてからというもの…千年輪が反応していやがるんでなぁ?
考えを巡らせていると、視界の端から奴が入ってきた。
こいつは調度良い。
オレは宿主の身体を借り表に出ようかと思い、…直ぐに止まった。
此処で襤褸を出しては元も子も無い。
様子を伺い、必要であるならば…それからでも遅くは無い。
「了。」
「。」
「あのさ、ちょっと頼み事があるんだけど…。」
申し訳無さそうな口調とは裏腹に、笑顔のまま切り出してくる。
『頼み』。
オレ様の予想が正しければ−
「頼み…?…ボクに?」
「そう!あのさ、今日の放課後、街を案内して欲しいんだけど…如何かな?」
何もかも、こうもすんなりと思い通りに進むってのは気分が良い。
思わず声を立てて笑ってしまう。
これでこの女に近付く事は容易になった。
だがしかし…そんなオレ様の気持ちの良い高笑いも、次の瞬間凍り付く。
「でもボク、今日はちょっと用事が…。」
「えぇ…ぁ…そ、うなんだ…。」
は、…はぁ!?何言ってんだぁこいつ!!
引き篭もりのテメェに用事なんざ無ぇだろうが!!!
一体何を考えてやがる!?
宿主はこの女に少なからず好意を抱いている。
それは間違い無ぇ。
ならば、無下に断る理由なんざぁ無ぇ筈だ!
一体…何だって言うんだ!?
「うん。今日はを誘って童実野町一周ご案内コースに行こうと思ってたからね。」
「…へ?」
頭痛がする。
心做しか悪心がする…気持ち悪ぃ。
…駄目だ…こいつが…何を考えていやがるか…さっぱり理解出来ねぇ。
オレに…このオレ様に…こんな真似をしろと言うのか。
それは…無理ってもんだぜ。
そんなオレを知ってか知らずか…宿主は能天気に笑っていやがる。
おいおい女…お前もそれで良いのかよ?
女は軽く窘めただけでその場は流れる。
これが…こいつらの間での普通の会話なのだとでも言うのか。
「じゃあまた後で!」
「うん!」
さっさと立ち去ってくれ。
そうでねぇとオレ様の調子まで狂っちまう。
これからの事を思うと…何故かどっと疲れが押し寄せた。
走り去ろうとした女の足がつと止まる。
一体何だ。
疑問に思い宿主の後方から眺めていると、
にっこりと笑った女がゆっくりと、重力を感じさせない柔らかな動きで半回転した。
「ありがとう!了。」
「っ…。」
…。
走り去るまで眺めた後、もう一度宿主に視線を戻す。
…おいおい…確りしてくれよ…。
再び見遣った宿主は頬を上気させ、口を半開きのまま呆けて居た。
見ちゃいられねぇぜ…。
馬鹿らしい。
あの女は放課後宿主と行動を共にする事は決まった。
ならオレ様はそれまで暫しの休息でも取ろうかと心の奥に引っ込もうと思った。
さっきっから悪心が止まねぇ…一体何だってんだ、こいつ。
去り際にもう一度宿主を見る。
すると先程とは打って変わり…今度は厭に真剣な表情で何か考え込んでいた。
…何だ?
まぁ、だがしかし大体の予想は出来る。
浮上しては沈み込む。
こいつの癖だ。
あの女に誘われた事が相当嬉しかったのだろう。
その反動で、今度は疑心暗鬼ってぇ訳か。
…一々面倒臭ぇ奴だと思った。
その内机の上に突っ伏し、思考から逃げ出す事にしたらしい。
今迄の状況を鑑みる。
このまま…流れに任せたままで…良いのだろうか。
いいや。良くねぇ。
流石のオレ様でもあんな真似は絶対に出来ねぇ。
と言うかしたくねぇ!!
此処は一つ…協力を仰いでみるのも…手かも知れねぇ。
オレは軽く舌打ちをした後、宿主の心の中へと沈み込んでいった。
重力の無い薄闇の中を進む。
その先にはぽつんと立ち尽くす白い塊。
『よぉ宿主サマ。』
オレが現れた先には、呆けた様に突っ立っている宿主が居た。
声を掛け此方に向き直った宿主のご機嫌は、最高潮に悪い様だった。
「またキミなの?今度は何?」
「何だよ。またご機嫌斜めなのかぁ?」
「そうだよ。もう良いでしょ。放って置いてよ。」
睨み付ける様に、低く言い放つ。
昨日っからずっとこうだ。
ったく…面倒臭ぇ奴。
「あの女が来てからと言うもの…ずっと苛ついてんなぁ?」
「キミには関係の無い事だよ。」
一瞬の間を空けて、ぴしゃりと言い返される。
おいおい宿主サマよ…幾ら強がっても、それは肯定してるってのと同じだぜ?
しかし、関係無ぇってなぁ…違うなぁ。
「そんな事ぁ無ぇぜ?」
含みを持たせて言い返す。
「…如何言う…意味だい?…まさか!?」
「おいおい…オレ様は心を入れ替えたって言っただろう?」
いとも簡単に食い付いてくる。
こいつは単純で良い。話していて頗る気分が良い。
仕掛けた罠に、何の躊躇も無く掛かってくれるんでなぁ。
「だったら何だって言うの!?そうだよ!ボクは機嫌が悪いんだ!!これ以上からかうと、ボクだって怒るよ!?」
「はっ!おっかねぇなぁ…。」
叫ぶ宿主も、滑稽にしか見えない。
オレ様の手の上で、良い様に踊ってくれよ?
「まぁそう警戒すんなって。」
軽くあしらう様に宥める。
こいつに決定権なんてもんは無ぇ。
全てはオレ様のシナリオ通りだ。
オレは上機嫌のまま次の言葉を紡ごうとした−その矢先。
「ボクと…真面目に話をする気があるの?」
思いがけず、強い口調で遮られる。
正直に言うなら−驚いた。
この先宿主は、ずぶずぶとオレ様の言い成りになる…筈だった。
「ふん。勿論だぜ?宿主サマよ。まぁ落ち着けって。テメェ、あの女が気になってんだろう?」
「なっ…。」
「表面上は上手く誤魔化せてるつもりだろうが…オレ様には通用しねぇぜ?」
「…だったら…一体、何。」
「…。」
珍しい事だと思った。
こうも強く、言い返してくるだなんて。
そうかい。そんなにあいつが大事なのかい。
ならそれも良いさ。
真面目に話を、してやろうじゃねぇの。
「取り引きをしようぜ?宿主サマ。」
「取り…引き…?」
「そうだ。」
−取り引き。
即ちそれは、オレ様だけに有利な話し。
そうなる…筈だった。
つい先程までは。
「話だけ…聞くよ。」
「そうでねぇと、面白くねぇよなぁ?」
「それで?」
「宿主サマはあの女に聞きてぇ事があんだろう?」
「…。」
「オレ様も…あいつに聞いておきてぇ事がある。」
「…は、…?」
手の内を曝し過ぎか?
だが、此処まで来ちまったのならば仕方無ぇ。
それくらい大した事じゃあ無い。
それに…それを知ったって、こいつにはどうせ、何も出来やしねぇ。
「何でキミが、に、何の用があるって言うの。」
「そう睨むなって。」
状況はまだオレ様の優位にある。
宿主は宿主なりに考えを巡らせている様だが…そんな事ぁ初めっから無駄だぜ。
オレ様の話を聞いてしまったその時点で、お前の負けは確実に決まった。
だが、表の人格を手懐けておく事に損は無い。
これは良い機会だと思った。ただそれだけの事だ。
宿主はまだあれこれ無い頭で必死に考えて居る様だったが…
どうせこの状況すらも理解出来て居ないのだろう。
オレ様が話を持ち掛けている事実と言う状況を。
「オレ様は、心を入れ替えたと…言った筈だぜぇ?」
「…解ったよ。」
「協力してくれるのか!」
大人しく引き下がった宿主に気分が良くなったのも束の間、
次の宿主の言葉に浮かれたオレの気分もすっかり悪くなる。
「だけど無条件じゃないよ。ねぇ、教えてよ。に、何の用があるって言うのさ。」
一々うるせぇ奴だ…。大人しく言う事を聞いておきゃあ良いのによぉ。
適当にあしらってやろうかと思い…止めた。
これは賭けだ。
宿主にこの事を伝え…如何出るか。
「テメェも知っているだろう?千年輪は他の千年アイテムを感知する。」
「…?だから?」
「千年輪がオレに教えている。新たな千年アイテムの出現をな。」
「そんな…まさか!!」
「その、まさかだ。」
微かな悲鳴の様に、宿主は声を絞り出す。
無情な処刑人が死刑宣告を下す様に、オレは肯定した。
途端に耳を塞ぎ蹲る。
顔面蒼白ってとこか…。
相当堪えたみてぇだなぁ。だが、
何時までもそうされてちゃあ話は一行に進まねぇんだよ。
「逃げてんじゃねぇぜ。だからオレ様が聞いてやろうってんじゃねぇか。」
「…それを聞いて…如何するの?取り上げるの?」
「さぁな。」
「に危害を加えるなんて、そんなの、ボクが許す筈無いだろう!?」
「んな事ぁ解ってんだよ。」
ぎゃあぎゃあと五月蝿ぇ。
いい加減不快になる。
何で此処までオレ様が折れてやってるってぇのに反論してきやがるんだ。
馬鹿か、こいつ。
「良いか?耳の穴かっぽじってよぉく聞きな、宿主。オレ様だってこんな面倒臭ぇ事ぁしたくねぇんだ。譲歩してやってんだよ。」
「…。」
「奴が所持者なのか如何なのか。確認するだけだ。今は必要無い。しかし場合によっては…解るよな?」
「…。」
「だがしかしよぉ。その方が、テメェにとっても良いんじゃねぇのか。」
「…は…はぁ?何でボクが…?」
馬鹿にも解る様に説明してやる。
初めっからそうやって大人しく聞いてりゃあ話は早かったんだ。
一々手間掛けさせやがって。
黙って聞いて居た宿主は、最後の此方の問いで漸く反応を見せる。
そして、止めの一言。
「テメェの想い人が、オレ様みたいなのを宿してたら…面倒臭ぇと思わないか?」
これでこいつは、完全に落ちた。
これはオレ様だけの話では無いと言う事を理解させる。
そう。千年アイテムには、封印された魂が宿っている。
オレ様の様にな。
目を見開き狼狽している宿主を逃がすまいと更に声を掛ける。
「確かめてぇと…思わねぇか?ククク…。」
「…。もう一つ、教えてよ。」
此処まで来りゃあ十分だ。
幾ら宿主だって、もう引き下がろうだなんて思いやしねぇ。
オレ様は腕を組んだまま次の宿主の言葉を待つ。
「何故…キミはこんな事ボクに言うの?何時ものキミなら…こんな事言わないだろう?」
「何回も言わせんなよ。オレ様は−」
「心を入れ替えたってのは聞き飽きたよ。」
やけにきっぱりと言い返され、少しだけ驚いた。
適当に流してやろうと言ったオレのお決まりの台詞は
臆する事無く此方を真っ直ぐに見詰める目に、無効化された。
正直、困った事になったと思った。
此処で怪しまれては折角納得させたオレ様の努力が水の泡だ。
ごちゃごちゃうるせぇと一蹴し、この取り引きを白紙に戻すのは簡単だ。
だが…そうとなると…。
あんな阿呆面した宿主の真似なんざ、オレ様のプライドが許さねぇ。
だが…そう気取られるのも癪に障る。
何か当たり障りの無い言い訳を探し、やはり適当に遣り過ごそうと思った。
「あの女はオレ様が宿る以前からの知り合いなんだろう?」
「へ!?…え、あぁ…。うん。」
「…解らねぇ。」
「え…?な、何が?」
−何が。
そう問われ、自分でも、何が解らないのか理解出来なかった。
「キミ…もしかして…困ってるの?」
「う、うるせぇ!!」
困る!?この、オレ様が、困っているだと!?
んな事ぁ断じて無ぇ!!
そんな事ぁ、絶対ぇに、無い!!!
大声を張り上げたオレを見て、宿主は変な顔のまま吹き出した。
「テメ、何笑っていやがる!!」
「ごめんごめん、だって、何だかおかしくって。」
おかしい!?おかしいのはテメェの方だろうがっ!!!
呆けた様ににこにこと笑う奴に、オレ様の怒りは絶頂を迎え様としていた。
だがその矢先、一変して宿主の表情が変わる。
「だけど…約束して。に…手を出さないって。絶対に。」
…一体…何だ?こいつ…。
今迄のふざけた様相からは想像も出来ない程、真面目な顔付きでオレに言い聞かせる。
まるで肩透かしを食らった様だった。
だがそれは、保障出来ない。
もしオレ様に歯向かって来る様な奴ならば…勿論返り討ちにするより他に無い。
だが、今最優先にすべき事は、千年アイテムの収集では無い。その存在の確認だけで良い。
上手く宿主を演じつつ、それが出来れば問題は無い。
だからこうして頼んでやっているのではないか。
「…もし。その願い、聞いてやらなかったら、如何する?」
協力するつもりのこいつの気分を態々害す必要は無ぇ。
だがしかし、万が一の事もある。
返答次第では、その必要性を説かなければならない。
至って真面目な質問だ。
だが…返ってきた答えは…。
「そうだね…。キミの大事な千年輪。クリスマスと正月の飾り付け両方して玄関に掛けて一週間放置ってのは如何だろう?」
「ん゙なぁ!?」
「そのまま写メ撮って遊戯君達に一括送信。あ。七夕が抜けたね。短冊には何て書く?キミ…恥ずかしくてもう二度と遊戯君達に会えないよね?…ね☆」
こいつ…何を言ってやがる…?
千年輪に…飾り付け?玄関に放置?写メって送信?短冊には何て書く?…、じゃねぇ!!
一体何を言ってやがる!!?
だが、オレには解る。
こいつは、きっと、いや、絶対に…−やる。
オレ様の全思考がそう告げている。
こいつ…前にも一度、七夕とか言うやつの時に変な枝に千年輪を括り付けて喜んでやがった。
あんな見っとも無ぇのは二度とごめんだ!!!
オレ様のプライドが許さねぇ!!!!
「だから…約束して。」
だらだらと冷や汗を垂れ流すしか出来なかったオレに、急に真面目くさった宿主が言い聞かせる。
…ころころと…表情を変え、全く、やりずれぇ奴だ。
「チッ…解った解った。」
両の掌を顔の高さでひらひらと振ってみせる。
オレ様の降参だ。
だが、その為にはオレ様の為に確り働いてもらわなければならない。
其処ん所、ちゃんと解っていやがるのか確認しようとした矢先−
「それで?ボクは何をしたら良いの?」
面白ぇ事になりそうな予感がした。