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Dream Story
- Les autres me
- 16.【La privation de sommeil】 17.【Tous les jours des gens】 18.【Premiere Duel】 19.【Premiere Victory】 20.【traitant】-Si Ryou- 21.【traitant】-Si Bakura- 22.【Faible fievre】 23.【Surrender】 24.【Explorez】 25.【Rencontres】 26.【Garnet】
- 【Premier transfert】-N゚ 01〜15-
- ⇒+ remise +
- ⇒+ aller a TEXTE +
- ⇒+ aller a principal +
会話を遮る予鈴。
あれ…昼休み…終わっちゃったのか。
「あ゛ぁー!?休み時間終わっちゃった!?」
ほぼ同時に遊戯君が声を上げる。
そっか。城之内君の次は遊戯君がとデュエルする筈だったんだっけ。
肩を落とし俯く彼に皆優しく苦笑する。
「す、すまねぇな遊戯。」
「ううん…しょうがないよね…はぁ。」
「そんなに落ち込まないでよ武藤君!何時でもデュエル出来るじゃない!ね?」
城之内君とが代わる代わるに慰める。
そうだ。別に今でなくても何時でも出来る。
だってはこれからもずっとボク達と一緒なんだから。
「じゃあさ!今日の放課後は?」
「いっ…今日の、放課後?」
の顔が明らかに引き攣る。
それまでよりも小さい遊戯君を慰め様と前屈みになっていた身体を、今度は反対に反らしながら。
泣き出しそうな、悔しそうな、そんな必死な様子で噛み付いた遊戯君だったけど、彼も直ぐさまの異変に眉をひそめる。
言わなくても判る。
彼女は…放課後は何か都合が悪い様だ。
「ん?ちゃん、何か用事か?」
「う…うん。」
「えぇー!そんなぁー!!」
「こらぁ!何時までくっちゃべってんだそこぉ!!」
予鈴が鳴った事を軽く忘れ掛けていたボク達は、先生の入室で我に帰り皆散り散りに席へ戻った。
程無くして授業は開始されるが…ボクは半分上の空で。
童実野町へ戻って来て間も無いに一体何の用があると言うのだろうかと考えていた。
気にならないと言えば嘘になる。
また海馬君の迎えでも寄越されていると言う事かな。
…考えても埒が明かない。
直接聞くのが早いと判断したボクは、その後大人しく授業を受ける事にした。
の方へ視線を向けてみる。
一生懸命に何かノートに書き込んでいるが…一体何を?
黒板はまだ綺麗なままだ。
暫く様子を観察してみる。
時折指を曲げたり、机の手前の方と奥の方とを交互に指指したりしている。
あぁ…きっとさっきの復習でもしているんだろう。
授業もそれくらい真面目に受けた方が良いんじゃないかな。
そんなボクの心配を余所に、は授業が終わるまで一生懸命に先程の城之内君とのデュエルを反芻している様だった。
…何だろう。何故か少しだけ、面白くないと思うのは。
嫉妬?
何に?
誰に?
そんな訳無い。
考えていたって、しょうがないじゃないか。
ボクは以降、愈授業に集中する事にした。
「それじゃあ此処まで。」
授業の終わりを告げる鐘が鳴る。
残り一コマか。…長いなぁ。
後一時間でやっと開放されると思うと気が楽になるのと同時に、
まだ一時間残っているのかと思うと面倒臭いなと感じた。
「了。」
そんな事を考えながら次の科目の用意をして居たボクの上から明るく声が降ってくる。
振り向かなくても誰かなんてのは判る。
顔を上げると直ぐ其処には、
「。」
「あのさ、ちょっと頼み事があるんだけど…。」
「頼み…?…ボクに?」
微かな高揚。
一体、何だと言うのだろうか。
後ろ手に組んだ彼女は座ったままのボクに上体を曲げてほんの少しだけ顔を寄せて続ける。
「そう!あのさ、今日の放課後、街を案内して欲しいんだけど…如何かな?」
「え…だって放課後は…。」
あぁ、そうか。
きっとこれは元々彼女の中で決まっていた事なのだろう。
他の誰でも無い、このボクと。
ならボクに断る理由なんか在る筈が無い。
問い返そうとしていたボクを少しだけ不安そうな面持ちで見ていた彼女に、ボクは先程のもやもやした気持ちを思い出し少しだけ意地悪をする事にする。
「放課後は何か用事があるんじゃなかったのかい?」
「うーん…。武藤君には悪いかなって思ったんだけど…昨日からずっと了にね、お願いしようと思ってたんだ。」
「そう、だったんだ。」
ずっと、ボクに。
素直に嬉しいと思う。
自然と顔がにやけてしまうのが解る。
いけないいけない。もう少しだけ耐えて、ボク。
「でもボク、今日はちょっと用事が…。」
「えぇ…ぁ…そ、うなんだ…。」
途端に今にも泣き出しそうな程に落ち込む彼女。
別に虐めるつもりは無いんだけど…困った顔も可愛いと思った。
「うん。今日はを誘って童実野町一周ご案内コースに行こうと思ってたからね。」
「…へ?」
勿論そんなのはの言葉を受けて今思い付いた事だけど。
は目を真ん丸に見開いてきょとんとした顔をしていたが、直ぐにからかわれた事に気が付いた様で。
「ちょ、ちょっと了!!」
「あはは。」
彼女は腕を組み"仕方無いなぁ"と言った風に困った様な顔で此方を見遣る。
ボクは精一杯の笑顔で返した。
そんなボクを見て、彼女も笑った。
放課後が楽しみで仕方無い。
時計を見ると授業開始はもう間も無くだ。
もそれに気付いた様で軽く手を振り来た方向に身体を向ける。
「じゃあまた後で!」
「うん!」
走り去ろうとした彼女の足がつと止まる。
一体何だろう。
疑問に思い小首を傾げてを見ていると、
にっこりと笑ったがゆっくりと、重力を感じさせない柔らかな動きで半回転した。
「ありがとう!了。」
「っ…。」
咄嗟の事で何も返せなかった。
彼女はそのままふわりと走り去って行く。
ボクはそれを呆けた様に見ている事しか出来なかった。
そんなボクをチャイムが現実に引き戻す。
早く授業なんて終われば良いのに。
始まってもいないこれからの授業の事を思い、少しだけもどかしく感じた。
だけどそれも杞憂だったと言う事を直ぐに思った。
何処へ行こう。何をしよう。
そんな事でボクの頭の中は目まぐるしく回転する。
そしてふと思った。
彼女は何故ボクを誘ってくれたのだろうかと。
童実野町の事ならボクよりも遊戯君達の方が詳しい。
ただ、ボクが彼等よりも古い知り合いだから。
ただそれだけが理由なのだろうか。
もしかしたらそうなのかも知れない。
いや、ほぼ確実にそうなのだろう。
それはあんまり…面白くないな。
だけどそんなのは、ボクには如何仕様も…無いじゃないか。
これ以上は何を考えても良く無い方向にしか思い至らないだろう事は…容易に想像出来た。
ボクはこの負の連鎖から逃げる様に意識から手を離す事にした。
夢を見た。
…様な気がする。
『よぉ宿主サマ。』
此処は何処だろう。
気が付くと目の前にボクそっくりな少年が対峙して居る。
酷く目付きの悪い。
偉そうに腕を組み顎を上げ見下してくる。
同じ顔。同じ身体。
なら身長は変わらない筈なのに威圧感だけは十分だ。
「またキミなの?今度は何?」
あまり機嫌の宜しくないボクは自然と苛ついた声を出す。
そういえば昨日もそうだったっけ…。
其処でボクは、これが夢では無い事に気が付いた。
此処は…ボク自身の心の中。
「何だよ。まぁたご機嫌斜めなのかぁ?」
「そうだよ。もう良いでしょ。放って置いてよ。」
「あの女が来てからと言うもの…ずっと苛ついてんなぁ?」
そんな事は無い。
ただ…。
「キミには関係の無い事だよ。」
そう。だけど。これは事実だ。
ボクの中に住み着いて居る彼には、何も関係の無い事だ。
「そんな事ぁ無ぇぜ?」
「…如何言う…意味だい?…まさか!?」
「おぉいおい…オレ様は心を入れ替えたって言っただろう?」
ずっとにやついていた彼は何が楽しいのか高笑いを始める。
…煩い。
「だったら何だって言うの!?そうだよ!ボクは機嫌が悪いんだ!!これ以上からかうと、ボクだって怒るよ!?」
「はっ!おっかねぇなぁ…。」
全然そんな事思って無いって顔だけど?
一体何のつもりだ。
「まぁそう警戒すんなって。」
そんな事言われたって…。
この彼を目の前にして警戒しない奴なんて居ないと思うけど。
不審過ぎる。
相も変わらずにやにやと。
掴み所が無くて、何を言ってものらりくらり。
「ボクと…真面目に話をする気があるの?」
組んで居た腕を、少し緩めた様に見えた。
ボクは出来るだけ声を低く、出来るだけ凄んで詰め寄った。
そんなのに臆する様な彼では無いのは解り切っている。
だけど彼は少し目を見開き、驚いた風な様相だった。
「ふん。勿論だぜ?宿主サマよ。まぁ落ち着けって。テメェ、あの女が気になってんだろう?」
「なっ…。」
「表面上は上手く誤魔化せてるつもりだろうが…オレ様には通用しねぇぜ?」
「…だったら…一体、何。」
「…。」
其処まで言うと、彼は沈黙する。
ボクは彼の言葉を待つが、一向に返ってこない。
流れる沈黙。
彼はもうにやついた笑みなど浮かべては居なかった。
ボクがもう一度何なのか問おうと息を吸い込んだのと同時に、彼は喋り出す。
「取り引きをしようぜ?宿主サマ。」
「と…取り…引き…?」
「そうだ。」
一体何だと言うのだ。
だが彼の言い出す事は容易に想像がつく。
ボクにとっては何も特にならない様な事に決まっている。
…いや。
なら…こんな事、一々言ってはこない。
「話だけ…聞くよ。」
「そうでねぇと、面白くねぇよなぁ?」
「それで?」
「宿主サマはあの女に聞きてぇ事があんだろう?」
「…。」
「オレ様も…あいつに聞いておきてぇ事がある。」
「…は、…?」
一体…こいつは何を言っているんだ?
に…聞きたい事?何故?
彼とには何の接点も無い。
なら…何を…。
「何でキミが、に、何の用があるって言うの。」
「そう睨むなって。」
気が付くと、彼はまたにやけた笑いを浮かべて居る。
其処でボクは漸く気が付いた。
だけど、気付いた時にはもう遅い。
ボクは彼の罠に嵌った。
此処でボクが彼の要求を拒めば、彼は人格交代の大義名分を手に入れるのだろう。
『ボクが協力しなかったから。だから勝手に身体を借ります。』と言う。
初めっから拒否権なんて物は、ボクには無いんだ。
だけど…じゃあ、何故こんな事、ボクに言う?
何故こんな回りくどい事を?
初めから、勝手に身体を使ってしまえば良いのではないのか?
「オレ様は、心を入れ替えたと…言った筈だぜぇ?」
思考を見透かされ、背筋に寒気が走る。
追い詰められた。
ボクが、次に、言える事は−
「…解ったよ。」
「協力してくれるのか!」
「だけど無条件じゃないよ。ねぇ、教えてよ。に、何の用があるって言うのさ。」
あからさまに面白くなさそうな顔付きになる。
舌打ちをされるが…当たり前じゃないか。
このまま黙って引き下がる訳にはいかない。
暫し膠着。無言。
それを破ったのは−彼の方だった。
「テメェも知っているだろう?千年輪は他の千年アイテムを感知する。」
「…?だから?」
「千年輪がオレに教えている。新たな千年アイテムの出現をな。」
「そんな…まさか!!」
「その、まさかだ。」
そんな筈…そんな、馬鹿な!!
が?千年アイテムの所持者?
こいつ、何を言ってるんだ…?
理解出来ない。
理解したくない。
嫌だ。これ以上もう話をしたくない。
聞きたくない!!
「逃げてんじゃねぇぜ。だからオレ様が聞いてやろうってんじゃねぇか。」
「…それを聞いて…如何するの?取り上げるの?」
「さぁな。」
「に危害を加えるなんて、そんなの、ボクが許す筈無いだろう!?」
「んな事ぁ解ってんだよ。」
低く、唸る様な声で一蹴される。
触れば切れる様な、そんな鋭い視線で射抜かれる。
「良いか?耳の穴かっぽじってよぉく聞きな、宿主。オレ様だってこんな面倒臭ぇ事ぁしたくねぇんだ。譲歩してやってんだよ。」
「…。」
「奴が所持者なのか如何なのか。確認するだけだ。今は必要無い。しかし場合によっては…解るよな?」
「…。」
「だがしかしよぉ。その方が、テメェにとっても良いんじゃねぇのか。」
「…は…はぁ?何でボクが…?」
意味不明だ。
こいつ、何を言ってる…?
何でそれがボクに関係あると言うのだ?
「テメェの想い人が、オレ様みたいなのを宿してたら…面倒臭ぇと思わないか?」
其処まで言うと、彼はまた高笑いを始めた。
の中に…彼の様な…?
そして、急に浮上してくるイメージ。
それは…先程の、彼女。
『え、いや、゛私゛だよ?』
違和感を、感じた。
ぎこちない表情で、彼女はたどたどしく、そう言った。
「確かめてぇと…思わねぇか?ククク…。そのついでに!テメェが聞きたがってる事も一緒に聞いてやるって言ってるんだ。どうだ!悪い条件じゃあ、無い筈だぜぇ?」
「…。もう一つ、教えてよ。」
愉快そうに喉を鳴らした彼は、ボクの問いに様相を変えるでも無く聞いている。
余裕綽々ってところか。
ボクはもう、彼の罠から逃げられない。
「何故…キミはこんな事ボクに言うの?何時ものキミなら…こんな事言わないだろう?」
「何回も言わせんなよ。オレ様は−」
「心を入れ替えたってのは聞き飽きたよ。」
言い返されると予想していなかったのであろう彼はボクの言葉に僅かだけ目を見開く。
そして今度は、彼が窮する番だった様だ。
真面目に…答えてくれるのだろうか。
ずっとボクを見下していた目は伏せられ、虚空を見詰めている。
だがしかしそれも束の間。
また何時も通りの威圧的な雰囲気を纏い、正面からボクに向き直る。
「…解らねぇ。」
「え…?な、何が?」
「あの女はオレ様が宿る以前からの知り合いなんだろう?」
「へ!?…え、あぁ…。うん。」
は?え?解らない?
以前からの知り合い−、…そうか。
彼はボクの振りをして遊戯君達に近付いていた。
彼等に接する様を逐一見ていた彼には、ボクの振りは簡単だったのだろう。
だけど−は違う。
ボクには…他の皆と同じ様に接しているつもりだけど…。
の前でのボクに、彼は成り切る自信が無いと言う事なのだろうか。
その内彼は気まずそうに…後ろ手に頭を掻き始める。
その顔は、今までの凶悪な物からは想像出来ない様な…。
「キミ…もしかして…困ってるの?」
「う、うるせぇ!!」
大声で叫んだ彼に、最早威厳等は皆無だった。
それが何だか少しおかしくて。
ボクは思わず吹き出してしまった。
微かに、ボクの脳裏で張り詰めていた緊張の糸が切れる音がした。
「テメ、何笑っていやがる!!」
「ごめんごめん、だって、何だかおかしくって。」
何処と無く正体が掴めず、時に恐怖すら覚える彼が、何だか妙に人間臭くて。
何時もこうだったら…もう少し話し易いんだけどなぁ。
「だけど…約束して。に…手を出さないって。絶対に。」
砕けた雰囲気から、また張り詰めた空気になる。
ボクは、切に頼んだ。
もし彼がまたのらりくらりとかわす様なら…ボクは何としても、彼を止める。
再び訪れる何度目かの沈黙。
彼はゆっくりと、口を開く。
「…もし。その願い、聞いてやらなかったら、如何する?」
「そうだね…。キミの大事な千年輪。クリスマスと正月の飾り付け両方して玄関に掛けて一週間放置ってのは如何だろう?」
「ん゙なぁ!?」
「そのまま写メ撮って遊戯君達に一括送信。あ。七夕が抜けたね。短冊には何て書く?キミ…恥ずかしくてもう二度と遊戯君達に会えないよね?…ね☆」
ボクはにっこりと微笑んでみせる。
彼は青褪めてびっしりと汗を掻いていた。
適当に思い付いただけの、殆ど冗談みたいな罰ゲームは、彼には相当ダメージがある様だった。
プライドの塊みないな奴だし。もしかしたら効くかもしれないとは思っていたけど…効果は抜群だったみたい。
失語症みたいになった彼に、もう一度問う。
今度は…真剣に。
「だから…約束して。」
「チッ…解った解った。」
言いながら両の掌を顔の高さでひらひらと振ってみせる。
一応…ボクの要求は呑んでもらえたみたいだ。
内心…凄く安堵した。
それと同時にやってくる驚き。
彼が表に出ている時、ボクには記憶が無い。
その間彼が何をしているのか、知らない。
そして…止められない。
今までも何度か話はしている。
彼はボクの知らない事を沢山知っていたし、彼はボクの知っている事で知らない事が沢山あった。
取り留めも無い話をしている時は…楽しい、と…思う。
だけど…。
こう言った人格交代の事に関しては別だ。
だからまさか…彼がこんな事を言ってくるなんて、思いもしなかった。
そして、この件に関してでも…彼は何でも無い話の時の様に、変に人間味を帯びた面を見せるのか、と。
少しだけ…嬉しい様な気がしたのは…絶対に気のせいだとは思うけど。
「それで?ボクは何をしたら良いの?」
にやっと笑った彼は最早恐怖の対象では無く、
宛ら悪戯を仕掛ける子供の様にしか見えなかった。