-
Dream Story
- Les autres me
- 16.【La privation de sommeil】 17.【Tous les jours des gens】 18.【Premiere Duel】 19.【Premiere Victory】 20.【traitant】-Si Ryou- 21.【traitant】-Si Bakura- 22.【Faible fievre】 23.【Surrender】 24.【Explorez】 25.【Rencontres】 26.【Garnet】
- 【Premier transfert】-N゚ 01〜15-
- ⇒+ remise +
- ⇒+ aller a TEXTE +
- ⇒+ aller a principal +
思考が停止する。
いや、これはどちらかと言えば回転しすぎてぶっ飛んじまった感じか。
何が起こったんだっけ。
オレのフィールドのモンスターが強制的に攻撃表示になり…
そして攻撃力を上げたブラックマジシャンにやられた。
つまり−
「さんが…勝った…!」
嘘だろ?
昨日今日でデュエルモンスターズを始めたばっかりの奴に?
視線を上げると向かいにはついさっきまで対面していた不安気な面持ちの少女は居なかった。
胸を軽く反らし、両腕を腰に当てたちゃんは怒気を含んだ声で滑舌良く口を開く。
「だから、私、始めたばっかりなんだから勝てる訳無いって初めから言ってるじゃない!!」
「…は?ぇ…?」
「、落ち着いて、の勝ちだよ。」
「…へ?あ、あれ?終わったの?」
貘良の言葉にきょとんと目を見開いたちゃんは漸く現実に帰って来たと言う様相だったがオレはまだ上手く戻れないで居る。
勝った事に気が付いて…なかった…?
麻痺していた感情が段々と戻ってくる。
「だあああぁぁぁ!!!??負けたああぁぁぁぁぁ!!!!??」
嘘だろっ!?
まさか…!!
…そんなぁ…。
自然とがっくりと肩が落ちてくる。
情け無ぇ…。
「デュエルは何が起こるか解らないからね…仕方無いよ。」
「ゆうぎぃ…でもよぉ〜…!」
悔しい。すっげぇ悔しい。
諦め切れず涙目で遊戯に縋り付く様な視線を投げる。
その先には困った様に笑う奴と、後ろにやれやれと言った風の本田と杏子が控えて居た。
「な、何か…ごめんね?城之内君…。」
怖ず怖ずと、静まった場に申し訳無さそうにちゃんが切り出すが…オレには謝られる様な事は何も無い。
上目遣いで身体の前で手持ち無沙汰に指を曲げ伸ばしする彼女を少しだけ可愛いと思ったが、
そんな自分を負けた悔しさとプライドが邪魔して素直に認められなかった。
だけど…
「なぁに。ちゃんが謝る様な事なんか何も無ぇさ!オレの詰めが甘かったってだけだしな!」
「おぉ?なんだぁ?城之内、やけに大人じゃねぇか。偉い偉い!」
「う、うるせぇぞ本田!!」
一気に場が崩れ皆一斉に笑い出す。
ふとちゃんとを見遣ると一緒に笑って居た筈なのに急にきょろきょろと辺りを見回して居る。
…何だ?
「どーした?」
「え、えと…私…勝っ…たんだよね?」
「?あぁ、そうだぜ?」
「あの…如何やって?」
「…はぃ?」
「だ、だって!何か!!気付いたら終わってたんだもん!!」
何処かへっぴり腰なのに噛み付く様な、怒ってる様な、そんな感じで声を荒げる。
…いや、違う。
少し赤くなった顔は…恥ずかしいのか?
軽く眉尻を上げ、一文字に口を結んだそれは今にも泣き出しそうにも感じる。
急に肩の力が抜ける。
それと一緒に、悔しかった思いも氷解してゆく。
変な奴。
解けて無くなった感情の変わりに別の何かが顔を出す。
オレは思わず吹き出してしまった。
「なっ!?何で笑うの!?」
「だってよ〜!!何でちゃんが勝ったのにそんな顔してんだよ!」
「え!?顔!?」
「ちゃんが勝ったのは事実なんだ。もっと自信持って良いと思うぜ?」
「そ…そんな事言ったって…。」
遊戯が此方に一歩進み机の端で止まる。
先程迄と同じ様に困った様な笑いを浮かべて居たが、
ぱっと笑顔になり小さな両手を差し出しながら「カード借りても良いかな?」と聞いてきた。
オレが手札と墓地のカードを差し出すとちゃんも同じ様に従った。
「城之内君のフィールドに伏せカードが五枚。さんのフィールドにはヂェミナイ・エルフと伏せカードが一枚。此処からで良いかな?」
「う、うん!」
遊戯の講釈が始まる。
最後、勢いに飲まれてしまったオレは真剣に耳を傾ける。
それはちゃんも同じだった様で、やはり同じ様に真摯な顔付きで食い入る様に卓上を見詰めていた。
「次にさんはブラック・マジシャンを召喚しようとしたんだよね。」
「うん…。伏せカードが気になって…だから、黒魔導で何とかしたかったの。」
「だけど城之内君の罠でブラック・マジシャンはフィールドに出る事無く墓地へ行ってしまった。」
再び先程と同じ様に並べられたカードを使い説明していく。
遊戯はちゃんのブラック・マジシャンのカードを手札から墓地へそっと置くと、
それを見ながらちゃんはまたがっかりと肩を落とした。
「絶対上手くいくと思ったのに…まさかそのまま墓地直行だなんて…。」
「罠カードを気にするのは良かったんだけどね。」
「いやぁ〜!にしても、気持ち良いくらいに引っ掛かってくれたぜぇ!!」
からからと笑うオレを恨めしそうにちゃんが下から見詰める。
お…おいおい、後ろに何か黒いオーラが見えるのは…気のせいか?
「この時城之内君に10年早いー!とか何とか言われて、いらっとしたのよ。私。」
腕を組み不機嫌にリナちゃんは言う。
「あはは…それで怒ったさんは、今まで慎重になっていたにも拘わらずヂェミナイ・エルフで攻撃。」
「だけどオレは伏せていた魔法を発動。」
オレの正面から少し遊戯の方へ移動させたカードの中の一枚を引っ繰り返す。
−右手に盾を左手に剣を。
これも上手く使えたと自分で思う。
オレのデッキの中でもオーガロックの守備力はかなり高い。
守備力2000を超えるモンスターはそうそう居ない。
「それでさんはオーガ・ロックに迎え撃たれて、1100のダメージ。」
「攻撃宣言をしたモンスターの表示形式は変更出来ない。私はそのままターンエンド。」
「この絶好の機会を逃す手は無ぇからな。オレはオーガ・ロックで追撃…の筈だったんだけどなぁ…。」
もう一度思い出す。
オレは絶好調だった。
何も問題は無ぇ。
後は攻撃力を上げたオーガ・ロックでヂェミナイ・エルフを撃破するだけ…だったんだが…。
「実は…ずっと忘れてたの。伏せカード。だから、あの時思い出さなかったら私の負けだったのよ。」
「な、なにぃ!?忘れてただとぉ!?」
「えへへ…。」と照れた様に笑うちゃんだが…冗談じゃ無ぇ。
だけど…オレにも似た様な事があった。
人の事は何も言えねぇ。
「それで…ここから先よね。私…何したの?」
「さんは城之内君の伏せカードを除去する為、黒魔導を使う為にブラック・マジシャンを復活させ様とした。熟練の黒魔術師は魔力カウンターを三つ乗せる事でデッキ、手札、墓地からブラック・マジシャンを特殊召喚出来る特殊能力があるんだ。」
「へぇー…そんなカードがあるんだなぁ。」
「そして魔力カウンターを乗せる為に、」
「魔法連発したって訳か。」
あの時のちゃんは…やけに迫力があって圧倒されたが、
何やってるのかと思えばそう言う事だったのか。
滅茶苦茶やってるのかと思ったが、ちゃんと理由があった様だ。
「まず強欲な壷。これで手札を補充。次に守備封じ。これで城之内君のベビー・ドラゴンが攻撃表示。そして三枚目、リロード。」
「きっと手札に困ってた訳じゃないけど、カウンターを乗せる為に発動した…のかな。」
「…ど…如何だったの…かな。でもきっとそうだったんだと思う。」
真剣に思い出そうと必死なちゃんを遊戯は困った様に笑い返す。
唸っていたちゃんは暫くすると諦めた様に「忘れちゃった。」と苦笑した。
「兎に角、それでカウンターの熟練の黒魔術師を生贄にしてブラック・マジシャンが復活したんだな。」
「そう。それで今までさんを悩ませていた伏せカードを黒魔導で一掃。リロードで手札に廻って来た魔術の呪文書で強化、攻撃。」
「って事は…魔術の呪文書が無かったら、やっぱり私は勝てなかったの?」
「このターンではね。」
「そっかぁ…。それにしても…城之内君は何故ベビー・ドラゴンを召喚したの?攻撃対象がオーガ・ロックだったら、やっぱり私は城之内君のライフを削り切れなくて勝てなかったわ。」
「えっと…オレはベビー・ドラゴンと一緒に時の魔術師を伏せていたんだ。」
急に話を振られ一瞬躓く。
そう。オレのデッキには攻撃力1500以上のモンスターは居ねぇ。
しかしそのままでは何時まで経っても形勢を逆転させる事は出来ない。
攻撃力の高いモンスターを何としても呼び込むには−
「時の魔術師の効果が決まればベビー・ドラゴンは千年竜に進化して攻撃力は2400になる。」
「2400…!?」
「ま、それでもブラック・マジシャンには敵わねぇけどなよ。そのブラック・マジシャンは墓地にいるしな。だけど…油断してたぜ…。」
まさかちゃんが墓地からブラック・マジシャンを復活させてくるとは思っていなかった。
完全に計算外だった。
「だけどそれも黒魔導が発動してしまった事により不発。ベビー・ドラゴンは攻撃を受けて撃破…って事だったんだけど…さん、本当に覚えて無いの?」
「お恥ずかしながら…あはは…。」
って事は無意識でやってたって事か!?
覇気無く苦笑しているちゃんに末恐ろしさを感じる。
「それにしても…途中から人格が変わったみたいだったぜ!」
「え…、いや、あの、゛私゛だよ?」
何気無く言った一言に、ちゃんはびくりと身体を固まらせた。
気まずそうな表情でこちらを向くとぎこちなく言葉を紡ぐ。
一瞬違和感を感じたが、直ぐに次の言葉を発する。
「違うよ!城之内君が馬鹿にするから途中で頭パーン!ってなったんだって!!」
「じゃあ城之内君の敗因は城之内君自身だったって訳だね。は怒らせると恐いから。」
にこにことしながら言う獏良の言葉にちゃんはあたふたと否定する。
今目の前に居るのは何時ものちゃんだが…。
オレは今後、出来るだけちゃんを怒らせない様にしようと心に固く決めた。
「でも…すっごく面白かったのはちゃんと覚えてる。ありがとうね、城之内君。」
全く…本当に、変な奴だぜ。
満面の笑みで言うちゃんに、オレも自然と微笑んだ。