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Dream Story
- Les autres me
- 16.【La privation de sommeil】 17.【Tous les jours des gens】 18.【Premiere Duel】 19.【Premiere Victory】 20.【traitant】-Si Ryou- 21.【traitant】-Si Bakura- 22.【Faible fievre】 23.【Surrender】 24.【Explorez】 25.【Rencontres】 26.【Garnet】
- 【Premier transfert】-N゚ 01〜15-
- ⇒+ remise +
- ⇒+ aller a TEXTE +
- ⇒+ aller a principal +
「それじゃあいくよ、城之内君…。」
「ああ…何時でも良いぜ。」
周りの空気が緊張する。
差し出された腕の前で武藤君は手を伸ばし切るのを一瞬躊躇する。
向かい合う城之内君の口元は笑っているけど…目は真剣だ。
武藤君の腕が止まる。
真っ直ぐに伸ばされ、片方を選ぶ意思を示す。
「本当にそっちで良いのか?」
「…うん。」
固唾を飲み、私には見守る事しか出来ない。
緊張する。
誰も喋らない。
空気が張り詰める。
そんな状況を打破する様に、武藤君は城之内君の手に握られた二枚の小さな紙片の一枚の端を摘む。
その手は刹那だけ引くのを躊躇う。
「さぁ来いっ!遊戯!!」
「…っ!!」
勢い良く振り上げられたその手には−
『ハズレ』
「げぇーっ!?」
「ぃぃいよっしゃあっ!!!」
何か不味い物でも食べたかの様な顔の武藤君を尻目に、城之内君は飛び上がる。
彼の手には『アタリ』と書かれた紙が握られていた。
「んじゃちゃん、先ずはオレとデュエルだなっ!!」
「お、おぅ!」
愈々緊張してきた…。
こんな調子で本当に大丈夫なんだろうか…。
だけど…初めから結果は解りきっている。
大会準優勝者に、私なんかが勝てる訳が無い。
変な話しだが…そう思ったら少しだけ気が楽になってきた。
そうだ。精一杯、やるしか無い。
「よし…目指すは…、城之内君のライフ半分削る!!」
「…ちゃんよぉ…そこは格好良く、『打倒城之内ぃ!!』とか言っとこうぜ?」
「それは無理!!」
ずるりと肩を滑らせながら提言する本田君に私は開いた手をびしっと翳す。
それはもう。自信満々に。
実際それだけ出来れば十分だと思う。
昨日城之内君と武藤君のデュエルを見たが…正直何してるかさっぱり解らなかった訳で。
「悪いがちゃん、オレは誰が相手でも手加減しねぇぜ?」
「いや。お手柔らかに…マジで。」
にやっと自信有り気に笑う城之内君に私は真顔で返すしかない。
くっそー…。精々華々しく…散ってやろうじゃないの!!
向かい合わせに並べられた机に其々着席する。
互いにデッキを交換し、シャッフルして戻す。
手札を五枚取り…。
「さぁいくぜ!」
「「デュエル!!」」
「ちゃんの先攻で良いぜ?」
「う、うん…私のターン…ドロー!」
手札には…闇道化師サギー、収縮、ヂェミナイ・エルフ、攻撃の無力化、リロード、そして…死のデッキ破壊ウイルス。
これは…中々に…いけるんじゃない?
如何なんだろう…瀬人には全然通用しなかったけど…試してみる価値は、ある。
「私はモンスターを裏守備表示で召喚!カードを二枚伏せて、ターンエンド!」
「オレのターン!」
勢い良くカードを引いた城之内君は手札を見詰めた後、高らかに宣言する。
「鎧蜥蜴を召喚!!守備モンスターを攻撃!!」
「私が伏せていたのは闇道化師サギー…サギーが破壊された事により罠発動!死のデッキ破壊ウイルス!!」
「な…げぇ!?」
「この効果により、城之内君のデッキから攻撃力1500以上のモンスターは全て破壊され…る?」
あれ?違ったかな…確かそうだった気がするんだけど…。
周りを見渡すと…唖然とする武藤君と城之内君に、引き攣った様な笑いの本田君に真崎さん。
「あ…あれ?違った?」
不安だ。良いのか?これで…。
ただ一人表情を変えず、じっと机を見詰めて居た了が一言呟いた。
「も案外えげつないね。」
「えぇ!?な、何!?駄目だった!?」
「だ、駄目じゃないよ!駄目じゃないけど…!!」
了の言葉にあたふたする。
えげつない?えげつないって…何だ!?
私の言葉に今度は武藤君がわたわたと身体の前で手を振り否定するが…歯切れが悪い。
一体何だと言うのだ。
次に武藤君を見た時には、彼は今まで見せた事のない逼迫した真剣な眼差しで机の上…フィールドを見詰め呟く。
「でも…これで城之内君の主力モンスターは一掃されてしまった…戦況は、かなり不利になってしまう。」
「おいおい…まだ始まったばっかだぜぇ〜?しっかりしろよぉ?城之内ぃ〜。」
「…オレのターンは…まだ終わってないぜ!!オレはカードを二枚伏せ、ターンエンドだ!!」
城之内君の声色が変わる。
顔付きが変わる。
今までの城之内君ではない。
瀬人と同じ。
これが…−決闘者の顔か。
「わ、私のターン!」
動揺しっ放しだった私は何故かそんな城之内君を前にして、少しだけ平静を取り戻す。
自分でも不思議だと思った。
大抵こう言う場合はもっと頭こんがらがって訳解んなくなるもんだけど…。
新たにカードを一枚ドローする。引いたカードは光の護封剣。
これは…今は必要無い。…今は。
隣の手札と一緒に引き抜く。
「ヂェミナイエルフを召喚!カードを一枚伏せ…て、ターンエンド!」
攻撃対象が居ないので今出来るのはここまで。
攻撃力1900のヂェミナイエルフなら今の城之内君が何を召喚しても大丈夫。
一応保険も掛けてある。
大丈夫。いける。
「オレのターン!ドロー!!」
城之内君が…不敵に笑った。
「オレはランドスターの剣士を召喚!ヂェミナイエルフを攻撃!!」
「え…え!?何で!?」
ランドスターの剣士の攻撃力は僅か500。
このままではヂェミナイエルフに返り討ちにされてしまう筈では…!
「魔法発動!天使のサイコロ!!」
場に伏せられていたカードを勢い良く引っ繰り返す。
魔法…!?一体これから…何が起こる?
「あれ?城之内…そんなカード持ってたっけ?」
「へっへーん、オレのデッキは常に進化してんだぜ!?」
「このカードは攻撃力500以下のモンスターの攻撃力を出た目の数だけ倍化する!4以上ならオレの勝ちだ!!いくぜ!」
きょとんとした真崎さんに、城之内君はポケットから小さなサイコロを取り出しながら恐ろしい事を言った。
何だって?攻撃力変化の魔法?
焦る。如何仕様。どうしようどうしよう。
考える間も無く、サイコロは無情にも振られた。
城之内君の手を離れたサイコロはいやにゆっくりだった。
回転。
もう一度、回転。
更に回転。
また回転。
カラカラと乾いた音が響き渡る。
そして、…静止。
出た目は…
「いよっしゃあ!5!!よってランドスターの剣士の攻撃力は2500!!いくぜ!攻撃ぃ!!!」
「ちょちょ、ま、ちょっと待って!!私も魔法発動!!収縮!!」
「あんだとぉ!?」
発動してみたは良いが…あれ?
如何なるんだろう…?
素っ頓狂な声で叫んだ城之内を尻目に、私は助けを求める様に武藤君に視線を向ける。
「天使のサイコロで2500になったランドスターの剣士の攻撃力は、さんの収縮で1250。攻撃宣言は終了してるから城之内君はヂェミナイエルフに攻撃して、攻撃力の差、650のダメージだね。」
「おぉ。そういう事か!」
やっぱり武藤君の説明は何時聞いても解りやすい。
素直に納得する。
瀬人もこれくらいのトーンで教えてくれれば良いのに…。
「…んな゛ぁ!?解んねぇままそんな事すんじゃねぇって!!」
「ええぇー!?だってしょうがないじゃん天使のサイコロとか見た事無いもん!!」
端から見ればただの子供染みたこの遣り取りも、今の私達には必死だ。
両手を机に打ち椅子から立ち上がりながら大声を張り上げる城之内君に、私は負けじと叫び返す。
「だがしかしよぉ、これでまた城之内のフィールドはがら空きになっちまったぜ。」
「うん…そうだね。形勢は完全にに傾いてるみたいだけど…。」
「オレはカードを一枚伏せ…ターンエンド。」
また伏せカードが増えた。
何だか…嫌な気分だなぁ。
昨晩はただ全てが恐ろしかった記憶しか無いが、今なら何が如何危ないのか少しだけ判る気がする。
二枚の伏せカード。
魔法か…罠か。
えぇい悩んでたって仕方無い!!
「私のターン!!ドロー!」
きた。
後はあのカードさえ手元に来れば伏せカードなんか怖くない。
「…私はこのままターンエンド。」
「オレのターン!ドロー!!」
「オレはオーガ・ロックを攻撃表示で召喚!カードを二枚伏せ、ターンエンド。」
…何か…やな感じ。城之内君は何かする気だ。
何も無しに攻撃力の低いモンスターなんか召喚する筈無い。
伏せカードは四枚。
さぁ…どうする。
「…私のターン…。」
弱々しくドローする私に違和感を感じたのか、本田君が怪訝な声を出す。
「何困ってんだ?ちゃん…。やられてんのは城之内だろぉ?」
「伏せカードだよ。あんなあからさまに罠です、って言われたらも迂闊に動けないさ。」
全くその通りだ。
私は…動けない。
「さぁ、如何したよちゃん。掛かって来いよ…!」
「…。」
恐々と引いたカードを確認する。
…熟練の黒魔術師。これじゃない。不十分だ。
「私はこのまま、ターンエンド。」
「さん…随分慎重じゃない?」
「…きっと何か待ってるんだよ。」
そう。私は待っている。
じれったい!早く来て!!
「オレのターン!ドロー!!…オレもこのままターンエンドだ!!」
膠着。
先に動くべきか、留まるべきか。
軽く城之内君を見ると余裕の笑い。
…くっそー…。
「私のターン!」
ドローした手札は…強欲な壷!?
如何しよう…使ってしまうか否か。
…大丈夫。きっとこれは焦った方が負け。
なら何時使っても一緒。
それに城之内君のデッキには攻撃力1500のモンスターは居ない。
私は次のターンを待つ。
「ターンエンド。」
「オレのターン。ドロー!!カードを一枚伏せ、ターンエンドだ!」
「なっ!!また増えたぁ!?」
「早くしねぇと、どんどん増えるぜぇ?」
「嘘!?何!?」
いやいや落ち着いて…。
今城之内君のフィールドには制限枚数一杯に、五枚伏せられているではないか。
そうだ。彼はこれ以上伏せる事なんか出来ない。
「さぁ!来いよ!!」
落ち着け…落ち着け、私!!
焦ったら、その瞬間に…負ける!
「私のターン!!ドロー!」
…やっと来た。遅いよもう!!
私が待っていたのは魔法・黒魔導。
これがあれば何枚伏せカードがあったって同じ事。
ただし、これを使えるのはブラックマジシャンのみ。
ならば私がする事は一つだけ。
私は高らかに宣言する。
「私はブラック・マジシャンを召喚!」
「リバースカード、オープン!!落とし穴ぁ!!!」
「…はい?」
「ぃやぁったぜぇ!!引っ掛かったなぁちゃん!?詰めが甘いぜぇ!!」
遠くの方で城之内君の上機嫌な声がする。
え…えーっと…あ、あれ?何も考えられない。
あぁ…頭の中が真っ白って、こう言う事言うのか。
身体に軽く感触。
首を廻すと、了が心配そうに覗き込んで居た。
「…大丈夫?放心してたみたいだけど…?」
「あ、あぁ…あぁー………、駄目かも。」
本当に。どーしよ。
現実に目を向けると、目の前で城之内君がはちきれんばかりの笑顔だった。
その内に、その純粋な笑顔はにやつき、此方を小馬鹿にする様な笑いに変わる。
「何だぁ?降参かぁ?ま!この城之内様に勝とうなんざ10年早いぜぇ!!」
何だろう。今。凄く。
イラッ☆
とした。
だから私は始めっから城之内君に挑むのは早いって言ってるじゃない!!
「わーっはっはっはー!」とか何とか高笑いして居る城之内君を無視して私は声を張り上げる。
「ヂェミナイ・エルフでオーガ・ロックを攻撃ぃ!!」
「おぉっとぉ!そうは行かないぜ!魔法発動!右手に盾を左手に剣を!!場に出ているモンスターの攻撃力と守備力を入れ換える!!」
「なっ…?」
つまり…つまり…と、言う事は…?
「オーガロックの攻撃力は2000!ヂェミナイエルフは900!!よって1100のダメージ!!!」
「…ターン…エンド。」
気が付いたら逆転。
城之内君のライフは1350。私は900。
愕然とする。
『焦ったら負け』なんじゃなかったの?私よ…。
相変わらず耳には笑い声。
脳裏に蘇る昨晩の瀬人。
二人が同時に私の頭の中で素敵なハーモニーを奏でる。
あぁ…睡眠不足も手伝って…私は今にも切れてしまいそうだ。
だけど…次のターンで、終わる。
城之内君のライフを半分削ると言う目標は叶わなかったけど…十分面白かった。うん。
俯いた私の視界にふと入る伏せカード。
あぁ…伏せカードとかもう見たくない…。
…伏せカード?
誰の?
これは…私の。
まだだ!まだ終わらない!!
「んじゃあちゃん、覚悟しなぁ!?いくぜ!攻げ…!!」
「リバースオープン!!攻撃の無力化!!!」
「上手い!持ちこたえた!!」
背中に感じる寒気…冷や汗ってやつか?
明るい声ではしゃぐ様に武藤君が賛辞の言葉をくれる。
だけど…。
「だけど…首の皮一枚って感じだなぁ…。」
「チッ…ちゃんも往生際が悪ぃぜ。オレはベビードラゴンを守備表示で召喚。ターンエンド。」
「このターンは何とか凌いだけど…厳しいね。」
正しく。本田君と了の言うその通り。
だけど…ここから追い上げてみせる!!
「私のターン!!ドロー!!!カードを一枚セット、そして熟練の黒魔術師を召喚!」
「…ちゃん、それ攻撃表示だぜ?次のターンで…」
「魔術発動!強欲な壷!!デッキから新たに二枚ドロー!!」
「は…?」
「更に魔法発動!!守備封じ!!これによりベビードラゴンは攻撃表示!!」
「な゙っ!?」
「そして魔法発動!!!リロード!!これにより手札をデッキに戻し、同じ枚数だけドロー!!!」
「ちょ、ちょっと待て!!何してんだ!?」
「今私が魔法を使った事により、熟練の黒魔術師にはカウンターが三つ!魔力カウンターの三つ乗った熟練の黒魔術師を生贄に、墓地からブラック・マジシャンを、召っ喚!!!」
「あの…ちゃん…?」
「魔法はつどおおぉっ!!!黒・魔・導!!!!相手フィールドの魔法、罠、全て破壊!!!」
「な、なにいいいぃぃぃぃぃーーーーーーーー!!!!??」
「さぁ…これで私を邪魔する物は全て無くなった…ふふっ…。そして魔法…魔術の呪文書。これでブラック・マジシャンの攻撃力は3200。」
顔の高さで魔術の呪文書をひらひらさせる私を青褪めたまま口をぱくぱくしている城之内君が見詰める。
ににっこりと微笑んだ私は、渾身の力を込めて高らかに宣言する。
「ブラックマジシャンで、ベビードラゴンをこおげきいいいぃぃぃぃーーーーー!!!!!!」
「のおおおおおおおおおぉぉぉぉ!!!!!!!???」
しんと水を打った様に静まる周囲の中、私は独り静かに胸を張り、大きく息を吐いた。