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Dream Story
- Les autres me
- 16.【La privation de sommeil】 17.【Tous les jours des gens】 18.【Premiere Duel】 19.【Premiere Victory】 20.【traitant】-Si Ryou- 21.【traitant】-Si Bakura- 22.【Faible fievre】 23.【Surrender】 24.【Explorez】 25.【Rencontres】 26.【Garnet】
- 【Premier transfert】-N゚ 01〜15-
- ⇒+ remise +
- ⇒+ aller a TEXTE +
- ⇒+ aller a principal +
楽しい時間が一瞬で過ぎ去ってしまうのと同じ様にまた、
楽しい事を待つ時間と言うのも同様に過ぎていくものである。
不得意科目の数学、化学と続いたが、それも苦では無かった。
日本史の先生の念仏の様な声は私をまた眠りに誘おうとするが必死に堪える。
教室を見回してみると、本田君も城之内君もすっかり向こうの世界に旅立って居た。
あ、武藤君は起きてる…。
だが視線は前ではなく手元。
一体何をしているのかと思い観察していると、何やら携帯ゲームで遊んでいるらしかった。
あ、何かミスったっぽい。
彼は小さく飛び上がった後、がっくりと肩を落とした。
武藤君は一々可愛いと思う。
真崎さんと了はしっかり授業を受けていた。
これが本来のあるべき姿なのだが、つい偉いなと思ってしまう。
机に肘を付き、少しだけ目を閉じる。
『行けブルーアイズ!滅びのバーストストリイイィィィム!!!』
はっとなり直ぐさま閉じたばかりの目を見開く。
駄目だ。完全にトラウマになっている気がする…。
昨晩瀬人は始めの内こそ卓上でレクチャーしてくれていたのだが、
眠気に耐えられなくなったモクバが就寝してしまうとモクバが持って来たジュラルミンケースの中から見た事の無い機械を取り出し使う様言われた。
それは今瀬人が開発中だと言う次世代デュエルディスクと言う物らしい。
腕に装着するそれは、歴史の教科書で見た古代の戦士の盾の様だと思った。
だが…そこからが私の悪夢の始まりだった。
カードを読み取り実体化させるそれは、もはや玩具のレベルを超えていた。
リアル過ぎるのだ。
ルールによりプレイヤーに直接攻撃される事は無いが…もしそれが可能になれば私は間違い無く逃げ出すだろう。
振り下ろされるあの刃先が自分だなんて。
恐怖以外の何物でも無い。
立体映像だと判って居ても、それ以上の迫力だった。
私の出す守備モンスターは次々と破壊され、最後には守備すら封じられあっと言う間にTHE END。
だがそれでも…少しでも瀬人のライフを削れた時は嬉しかった。
…その次は決まって倍返しに遭う訳なのだが…。
脳裏で瀬人が加虐的に笑う。
眠気と共に何処かに消えていた頭痛が戻ってきた。
つらつらと昨日の惨状を思い返していると漸く授業終了の鐘が鳴る。
やっと午前が終わった。
私はこれからの事を思うと、楽しみなのと、不安な気持ちが入り交じりよく判らなくなっていた。
「。」
呼び掛けられた方を振り返ると小さな包みを片手に了が立って居た。
「やっと終わったねー。お腹空いちゃったよ。」
「そうだね。私もお腹減ったー。」
「あれ?寝てただけじゃないの?」
「し、失敬な!ちゃんと起きてたよ!!」
本当にぎりぎりだったけど。
嘘は言ってない。
ふと前方を見ると城之内君はまだ寝て居た。
真崎さんと遊戯君は既に談笑し、本田君は今漸く起きた様だ。
「行こ?」
「うん!」
「今日もお節?」
昨日一緒に昼食を摂った了は、私が鞄に手を掛けると笑顔のままそう言った。
流石にあの重箱を持参する気にはなれない。
私は鞄の中から水玉の小さな包みを取り出した。
「はは…違うよ。ほら。」
「それ…海馬君の?」
「いや、これを使う瀬人は…ちょっと気持ち悪くない?」
「私が前から使ってるやつ。持って来てて良かったよ。」
立ち上がり武藤君と真崎さんの元へ向かう途中、
水色を基調としたポップな花柄のお弁当箱を使う瀬人を想像してみたが、それは面白い以外の何者でも無かった。
自分のお弁当くらい自分で用意すると磯野さんに申し出たのだが、
私が持参したお弁当箱は回収され朝にはしっかりと用意されていた。
少し申し訳無い気もするが…瀬人の家のご飯は美味しい。
私はお言葉に甘えてしまう事にした。
此方を向いて居た真崎さんがいち早く私達に気が付き手を振り招き寄せる。
武藤君も此方に向き直り同じ様に手を振る。
小走りで近付くと幾つか机が寄せられ、二人の昼食が並べられていた。
調度その頃、眠たそうな本田君と城之内君もやって来る。
「う゛ー…っ、良く寝たぜぇー。」
両腕をと身体を伸ばした後、城之内君は軽く首を鳴らす。
皆それぞれ適当に着席するといよいよ昼食だ。
既に包みを広げていた武藤君はお弁当に箸をつけながら明るい口調で言う。
「そう言えばさん、海馬君とデュエルしたって事は、デッキ作ったのかな?」
「ん゛んー…、うん。作ったのは私じゃないんだけどねぇ…。」
「マジかよ!!んじゃあ飯食い終わったら早速やろうぜ!?」
「うん!でも…本当、私、お話にならないくらい弱いよ?」
瀬人の用意してくれたデッキは多分、凄く良い物だ。
余りにも負けの続いた私は眠気も手伝ってデッキが悪いと子供みたいに言い訳をした。
逆切れ以外の何者でも無い。
その時瀬人は静かに、ならデッキを交換しろと言い、そして私の使う瀬人自身のデッキに難無く勝ってみせた。
こうまでされてはぐうの音も出ない。
デュエルはしたい。面白そうだと思う。
だが…私だけが楽しくても仕方無い。
デュエルは独りでするものでは無い。
相手の子がつまらないかもしれないと思うと…何だか申し訳無くなってくる。
私の肩は自然と落ち、溜め息が出る。
「…。大丈夫だよさん。みんな初めは解らない事ばっかりだよ!」
気遣う様に武藤君がそう言ってくれる。
屈託無い彼の笑顔に、何だか少し心が軽くなる。
「うん、そうだよね…!…弱くても…笑わないでね?」
「勿論だよ!!」
私はやっと安心する事が出来た気がする。
私が微笑むと彼も同じ様に微笑んだ。
逸早く食べ終わった城之内君は早々と手札のチェックを始めていた。
その顔は真剣そのもので、授業もそれくらい真面目に受ければきっと直ぐに学年上位に入るのではないか等と余計な事を考えてしまう。
きっと興味の無い事には関心を示さない人なのだろう。
そう言えば…。
「ねぇ。昨日あの後如何なったの?」
城之内君のカードを捲っていた手がぴたりと止まる。
本田君はにやにやと、武藤君は少し困った様に笑う。
あぁ…そっかぁ…。
「城之内君、また、負け続けだったの?」
何もそんなストレートに言わなくても…。
そう発言した了の方を見ると、きょとんとしたままだった。
了よ…いくらなんでもそれは…ちょっと酷くはないかい?
「う、うるへぃ!!」
「でもあの後城之内君はボクには勝ったんだよ!」
「ま、もう一人の遊戯には惨敗だったけどなぁ〜!」
「くぅ…ちっくしょー…次は絶対に勝ーつ!!!」
大きくガッツポーズをして見せる城之内君を囲み、皆一斉に笑い出す。
和やかな雰囲気が漂っている。
きっとこれが彼等の日常。
だけど私には…聞き慣れない、いや、
『聞き流せ無い』言葉が混ざっていた。
「もう一人の…武藤君…?」
「あ、そっか。上杉さんが居る時はずっと『ボク』だったもんね。」
「遊戯の中には、もう一人の遊戯が居てよ。その遊戯が強いのなんのって…。」
そのまま城之内君は机に突っ伏してしまう。
何でも無い事の様に…とんでもない事を言いながら。
…何?何て言った?もう一人の自分?
それは…それって…『もう一人の私』…?
周囲の面々を見回してみるが、皆特に変わった様子も無い。
一体…何なんだ?
何故そんなに普通にして居られる?
「…?」
声を掛けられ、びくりと反応する身体。
私は明らかに動揺している。
自分でも解る。
でもそれを押さえる事も、隠す事も出来ない。
錆び付いたロボットの様にぎこちなく声を掛けた隣の了に顔を向けるのが精一杯だ。
「如何したの、真っ青だよ!?」
「…っえ、いや、何でも無い、よ?」
「何でも無い訳無いよ!!」
思い掛けず大きな声で返され驚いてしまう。
目を見開いた私が見詰める了は…真剣だ。
きっと今私の口は半開きだと思う。
周囲に目をやると、皆同じ様に不安そうな表情を浮かべている。
人間とは不思議なものだ。
例え自分が大変だったとしても、自分より大変な人を見てしまうと其方が気になってしまう。
つい、手を貸してしまいたくなる。
必死になってくれている了を見ていると、不思議と今驚いていた事もたいした事じゃないと思えてきた。
身体から緊張が解け、錆びたロボットから人間に戻ると何だか面白くなってきた。
うん。大丈夫。きっと大丈夫。
「いや!本当に何でも無いの!青い顔してるのは、残念ながらただの寝不足かなぁー。」
「…本当に?寝不足だけ?」
怪訝な顔のまま問われる。
全然信じて無いって感じだけど…。
「ちょっと考え事もしててさ。…武藤君の中にいる武藤君て…何だろう…とか…。」
皆を注意深く観察しながら言葉を紡ぐ。
彼等は全く雰囲気を変える事も無く私に語る。
大丈夫。何を言われてももう驚かない。
「遊戯の首に掛かってる三角錐あるじゃない?あの中にはもう一人の遊戯の心が入っているのよ。」
「うん!ボクがこの千年パズルを組み立てた時からボク達は一緒なんだぜ!」
「それは…ごめんね、二重人格とか、そう言うのじゃなくて?」
「オレは難しい事ぁ解んねぇけどよ。そーゆーのとは違うと思うぜ?」
「へぇー…そうなんだ…。」
代わる代わるに教えてくれる。
皆、この事実を受け入れている。
私にはその事自体が不思議でならない。
誰も否定しないのか?
誰もおかしいって言わないのか?
何故?
「、また変な顔になってるけど…?」
「ちょっと!変な顔とか失礼だよ!?」
「でも確かに…いきなりこんな事言われても信じられないよね。」
「え?そんな事は無いよ?」
相変わらずの゛了の思った事そのまま発言゛を激しく否定し完全に素に戻っていた私の返答に、今度は皆が一瞬止まる。
あ…あれ?
申し訳無さそうに言った武藤君は、既に驚きの表情へ変わっていた。
「信じて…くれるの?」
「え、え?うん。だって武藤君、嘘吐いてる目じゃないもん。」
「はっはっ!そうだよなぁ!遊戯に人は騙せねぇよなぁ!!」
「えぇー!?城之内君それ如何言う意味!?」
また直ぐに元通り。
大笑いする城之内君と本田君。
わたわたと慌てる武藤君。
困った様に静かに見守る真崎さんと了。
仲が良いんだな。皆。
「っと…、そろそろ始めようぜ!休み時間終わっちまうぜ!」
「うん!そうだね、机の上片付けなきゃ!」
そう言いながら立ち上がったのを皮切りに、皆ぱたぱたと用意を始めた。