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Dream Story
- Les autres me
- 01.【Premonition】 02.【Reunion / Confusion】 03.【Enchante】 04.【Avis】 05.【Pause-temps】 06.【panier-repas】 07.【l'heure du dejeuner】 08.【Apres l'ecole】 09.【Burger World】 10.【Regle】 11.【auto haine】 12.【sermonner】 13.【Maniere】 14.【Dans la Accueil】-Si mon- 15.【Dans la Accueil】-Si Ryou-
- 16.【La privation de sommeil】
- ⇒+ remise +
- ⇒+ aller a TEXTE +
- ⇒+ aller a principal +
授業は何処で聞いても退屈なものだと思った。
幸い、今受けている教科も、先程の教科も、前の学校で受けた事がある部分。
暫く勉強の事で悩まなくて済むであろう予感に、少しだけ心が軽くなる。
出出しからのクラスの女子達の洗礼に、少しだけ心が折れそうになったが…きっと何とかやっていけるだろう。
そんな気がする。自分でも、そんな風に思うなんて不思議だけど。
よく言われるもの。私は少し悲観的過ぎるって。
だからきっとそう思うくらいで調度良いんじゃないのだろうか。
それでもやっぱり、珍しい事なんだと思うけれど。
それにしても…まさかこの学校に彼が居るなんて。本当に驚いた。
彼−獏良…了が。
変わらない雰囲気、優しい笑み、すっ呆けた受け答え。何も変わらない。
ただ、あの頃よりもすらりと伸びた背は、ああ、男の子なんだな、と思った。
私だってそれなりに背は伸びたが、彼は私なんか比べ物にならない程に高くなっていた。
うん。にょっきりと。
でも、それでも別人の様だとは思わなかったのだから不思議だ。
いや、きっとただ漠然と、突然に現れたのならば、私は彼の成長振りに面食らっていたのだろう。
だけど、私の前に再び現れた彼は素っ頓狂な大声で私を指差し、…突拍子も無い所なんかは、全く変わっていなかった。
了が転校してから…会えなくなってから何年経ったのだろう。
中学に上がって、クラス替えがあって、それから…。
あぁ…、そうだ。
中学二年の夏。二学期が始まる頃。
彼は突然に、姿を消した。
教師達も、クラスメイト達も、誰も彼の行方を知る者は居なかった。
彼の自宅へも訪ねてはみたのだが…門前払い。
依然訪ねた時の、あの優しそうだった彼のお母様に、酷く冷たく追い返された。
その掌を返した様な豹変振りに驚いた私は、その後、二度と彼の自宅へ近付く事が出来なかった。
如何しても…再び了の行方を問う事は、出来なかった。
勇気が無くて、意気地も無かったから。
連絡先も解らず、如何する事も出来ないまま…。
その後自分にも沢山の事が降り注ぎ、結局そのままになってしまった。
思い出し、悔しさが込み上げる。
私は…何時も中途半端だ。
握った掌が、鈍く痛んだ。
彼は…何故了は、転校してしまったのだろう…?
当時の事が、上手く思い出せない。
…眠いな。お腹減った。
四時間目の授業は後十分程度で終了の時を告げる筈。
それにしても…何だか矢鱈と妙に疲れた。
私はそれまでの暗く消極的な考えを放棄する事にする。
こんな事…考えてたって、しょうがない。
偶然とは言え、また会えたんじゃない。
彼にも。…そして、あの人にも。
この数時間の事を振り返る。
朝から何だかんだとばたついて、教室に入ったら入ったであんな事があり、その後直ぐに…や、あれはあんまり思い出したくない。
そして漸く了と話す機会を得たのだが…うん。これもあんまり思い出したくない。
先程の自分の子供染みた行いを思い返すと…穴があったら入りたいくらいだ。
人のせいばっかりにして…やだなぁ。全然成長してないじゃない。私。
それに比べ…了の友達は皆良い人ばかりだ。
皆明るくて、素直そうな良い人達だった。
素直に羨ましいと思う。
私もあの中に入れたら…良いなぁ…。
つらつらとそんな事を考えていると、唐突に授業の終わりを告げる鐘が鳴る。
やっと終わった!
「おぉーいちゃーん!飯喰おうぜー飯ぃー!!」
もそもそと机の上を片付けていると、やや離れた場所から城之内君と本田君が片手を揚げながら大きな声で呼び掛けてくる。
期待は…正直に言うなら、ほんの少しだけしていた。
だけど、本当に誘って貰えるなんて。
誘って貰えなければ、何と言って輪に加えて貰おうかと思案していたのだが、それは不要だった様だ。
私は嬉しくて自然と笑み、私も片手を揚げて応えたその時、
「支度は済んだのか?」
不意に塞がれた視界。遮る長身。
其れは私の目の前で止まると、ゆったりとした動きで腕を組んだ。
その影はふぅん、と溜め息とも何とも言い難く鼻を鳴らす。
「瀬人!…び、吃驚したぁ…。」
「さっさと準備しろ。行くぞ。」
「あ、へ?え?ちょま、えぇ!?待ってよ瀬人、何処に行くの?」
城之内君達へ向け手を挙げたままうろたえあたふたとする私とは対照的に、瀬人は微動だにせず短く言う。
「昼食だ。」
…おぉ。そう言えば…今朝学校に向かう車の中でそんな事を話していた。
やっべぇ…すっかり…忘れてた。
背中をいやぁ〜な感じで伝い落ちるこれは…冷や汗ってやつだろうか?
未だに手を下げられずフリーズする私を、瀬人は訝しげに見下ろしている。
「何だ。如何した。」
「あー…えぇー…っと…うぁー…っと…えーっとね、ちょっとまtt」
「おい海馬!テメェなんで−」
「馬の骨の貴様には関係の無い事だ。」
言い掛けた私の言葉は、最後まで出る事は無く掻き消された。
歯切れの悪い私の言葉に少し苛立ちを感じ始めていたのであろう瀬人は、教室の端から小走りでやってきた城之内君の言葉を容赦無切り捨てる。
彼の言葉もまた遮られ終わらない内に、瀬人にぴしゃりと言い切られた。
その言葉、言い方があまりにも冷たくて、驚いた私は新しく登場した城之内君から瀬人に視線を戻す。
すると其処には、私の知らない瀬人が居た。
先程迄も決してにこやかと言う訳では無いが…それでも自然だった瀬人は一変して無表情だが、その視線だけは凍り付く程に冷やかだった。
…あ…え?あれ?
もしかして…仲悪い系…ですか?
「な、なんだとおぉ!?」
「早くしろ。」
当然の反応。
あんな言い方されて怒らない方がおかしい。
しかし瀬人はそんな城之内君を全く意に介さず私の名を呼ぶ。
それどころか…うん。何もそんな…無視しなくったって良いじゃない。
瀬人を噛み付く様に睨み付ける城之内君と冷え切った瀬人を見比べ、如何したら良いのか逡巡するが…
頭の中は真っ白のまま、良策なぞ出てくる筈も無かった。
一瞬、瀬人が城之内君を瞳だけで見遣った気がしたが、その後直ぐに私に向き直る。
息を呑み、見詰め返すしか出来ない私を見る瀬人の目は、何時もの自然なものだった。
其の視線の中に、ほんの僅かの疲弊を含み。
あぁ…彼は、瀬人は城之内君が嫌いなんじゃない。
苦手なんだ。
…何だ。吃驚した。
途端に肩の力が抜け、少しだけ笑みを作る。
身体ばっかり大きくなっちゃって…しょーがないなぁー。
いきなり城之内君を突っ撥ねるから何事かと思ったじゃない。
すると瀬人は何を思ったのか急に踵を返し、問答無用で行ってしまう。
「え?あ、ちょっと待ってってば!瀬人ぉ!!」
ちょっと待って今の笑顔は別に肯定の意味じゃないよ!?
だ、だって、…折角、誘って貰えたのに。
でも瀬人だって無下には出来ない。
私は、如何するべきだ。
「クソ、海馬のヤロー…一々ムカつく奴だぜ。」
城之内君の悪態で我に返る。
考え込んでいる場合じゃない。
時は刻一刻と過ぎ、瀬人も、どんどん離れて行ってしまう。
私は、彼を追わなくては。
「ごっ!…ごめんね城之内君!!」
「へっ!?」
自分でも、思っていた以上に大きな声。
彼は私のその声に面喰い、一瞬目を見開く。
きょとんとした彼は、とても幼く見えた。
「私、お昼は瀬人と一緒にって約束してたの。すっかり忘れてて…その、誘って貰えて…嬉しくて…つい…。」
「…。…チッ…しょうがねぇなぁ…。」
その大きな目は正面に私を捉えていたが、言い終わる頃には渋々と言うか…照れた様な…そんな感じで頭を掻いていた。
怒っては…いない、の、かな?
それでも、私の心の中は申し訳無さで一杯だった。
「じゃあさちゃん、明日はオレ達と一緒な!予約だぜ。」
僅かに俯いて居た私は、彼の言葉に驚きはっと顔を上げる。
其処には、初めて笑い掛けてくれた時よりも幾分柔らかい笑みを湛えた城之内君が居た。
「…、うんっ!」
嬉しくて、力一杯に答えた後、そんな自分が子供っぽくて何だかちょっと気恥ずかしくなった。
そんな自分の想いを自分で誤魔化したくて、私は小指だけ伸ばし握った手を彼に差し出した。
彼はまた驚いた様な表情の後、直ぐに眩しい笑顔に変わる。
「じゃあ…約束なっ」
二人で軽く指を絡める。
良かった。もう怒ってないみたい。
安心したら、指切りだって子供染みていたと気付き、やっぱり気恥ずかしくなった。
「じゃ、じゃあ私、瀬人追い掛けなくちゃ!!」
「おぅ!!また後でな!」
居た堪れない気持ちを含み、急いで駆け出す。
それにしても瀬人は…何処に行ってしまったのだろう?
「…振られたなぁ、城之内ぃ〜。」
「うっうるせぇ!!そんなんじゃねーよ!!!」
にやにやとした本田が遅れてやって来る。
それにしても…か…面白い奴が入ってきたな。
「さっ、それより飯だ飯ぃー!!」
遊戯と杏子の待つ、日当たりの良い窓際の席へ向かう。
…遊戯と、杏子…?
「あれっ…そういやぁ、貘良は?」
「あぁ…あいつなら何時ものアレだ。」
アレ。沈着化しつつあったアレは…如何やらちゃんの登場によってまた再燃してしまったらしい。
つまり、
「ふぅーん…大変だなぁ貘良も。また追っ掛けられてんのかぁ。」
ほんの少しの同情と…ちょっとだけ…本当にちょっとだけの羨望。
20090901 加筆修正。