Dream Story
Les autres me
01.【Premonition】 02.【Reunion / Confusion】 03.【Enchante】 04.【Avis】 05.【Pause-temps】 06.【panier-repas】 07.【l'heure du dejeuner】 08.【Apres l'ecole】 09.【Burger World】 10.【Regle】 11.【auto haine】 12.【sermonner】 13.【Maniere】 14.【Dans la Accueil】-Si mon- 15.【Dans la Accueil】-Si Ryou-

16.【La privation de sommeil】
⇒+ remise +
⇒+ aller a TEXTE +
⇒+ aller a principal +


 変わらない。本当になんだ…。
城之内君に連れられて来た彼女は、ボクが知っている彼女よりほんの僅か背が伸びていた。
けれどそれは、紛う事無き、その人だった。
 HRが終わり、彼女の許へ近付こうとしたが、それは叶わなかった。
何故なら…彼女はボクが近付くよりも先に、クラスの女子達に囲まれて仕舞ったから。
其処にボクが近付こうものなら…結果は火を見るより明らかだ。
正直…ボクは彼女達が苦手だし。
そこで城之内君に彼女を連れて来て欲しいと頼んでみると、彼は二つ返事で引き受けてくれた。
きっと彼なら彼女達にぼろ糞言われるのにも慣れているだろうし、本田君に頼むより上手く連れ出せると踏んでいたのだが、それは想像通りだった。
 城之内君に相談している間、大丈夫かと心配になりの方へ視線を向けると目が合った。
吃驚した。
目が合った瞬間、息が止まる。
まさか、彼女が此方を、ボクの方を見るとは思っていなかったから。
だけどその視線は、困り果てていた。
それはそうだ。彼女の周りには口喧しく何かを言い続けている女子達。
彼女達は…とても友好的には見えない。
それどころか敵対心の様な物を剥きだしにし、に食って掛かって居た。
せめて大丈夫だと、直ぐに何とかしてあげると伝えたくて手を振り微笑んでみるが、逆に周りの女子達を逆撫でしてしまい、火に油を注ぐ結果となった。
 慌てたボクは城之内君の背中を押しながら嗾け直ちにの許へ向かわせる。
急に背を押されまごついた彼は、それでも一歩踏み出すとそのまま囲まれたの救済へ向かった。
一悶着あった様だが、ボクの想像通り、城之内君は手際良くを連れ帰って来てくれたのだった。
しかし…そんな彼に感謝しつつも、軽い苛立ち。
別に、手を引いて連れて来てくれなんて、言ってないのに。
挙句、はボクを見るなり矢継早に非難を浴びせる。
これには流石に…ボクも落ち込まざるを得ない。
 沈んだ気分で彼女の必死の訴えを反芻する。

「了!!何で助けてくれなかったの!?」
「目合った上に手まで振ってくれてなかった!?」
「助けてくれても罰は当たらないと思うよ!?」

 …。
つまり…ボクに助けに来て欲しかったと…言う事だろうか?
うん。きっとそうだ。そう思う事にしよう。
 そう思うと、漸くボクも笑みを作る事が出来る。
ボクが微笑むと、彼女も同じ様に笑った。
やっぱりそうだったんだ。
「誰のせいでこうなったの、誰のせいで!!」と言う部分は、無かった事にしておこう。

 その後杏子ちゃんの発言により、彼女から簡単に皆の自己紹介がなされる。
その間終始にこやかに聞き入っていたは、何故かボクの話になると不機嫌そうな目で此方を見遣る。
何かと問うが、困った様に「うぅん。何でも無い。」と言い、笑った。

「それよりさ!ちゃんは海馬君とも知り合いなの?」

 唐突に切り替わる話題。
武藤君が溌剌と、厭味も屈託も無く問う。
皆一斉に遊戯君に視線を向け、思い出した様な顔での方に向き直った。
心の底で…正直助かったと思った。
それはボクも、気になっていた事だから。
如何やって切り出そうか、どのタイミングで言おうか、考えても良い案は浮かばず、結果ボクからは切り出し難いなと考え始めていたから。

「海馬…?あぁ、瀬人の事?知り合いって言うか…んー…。…話すと長くなるような…そうでもないような…ゔぅーん…。」

  だけどは殆幾困り果てた様に腕を組みながら言葉を濁す。
益々気になるし…聞きにくくなるじゃないか…。
さて…この後ボクは、如何出るべきなのだろう。
だがそんな考えも、彼等と一緒ならば、不要な事だった。

「なんだぁ?言いにくい秘密の関係ってやつかぁ〜!?」
「えっそうなの!?」
「えぇ!?全然!!そんなんじゃないよ!」

 からかう様に言う本田君と何故か赤面する遊戯君に笑いながら彼女が返す。
そうなんだ…。内緒ほっとする。
そうだ。今は彼等と一緒なんだ。
ボクが聞かなくても、きっとボクが知りたい事は…彼等が質問してくれるだろう。
それにしても…本田君はもう少しデリカシーってものを学んだ方が良いんじゃないのかなぁ…。

「でもボクも…と海馬君が知り合いだなんて知らなかったよ。」

 漸くボクは発言する。
ボクの進みたい道から逸れぬ様に。
出来るだけ、自然に。

「…あれ…?そうだっけ?…あぁ、そっかぁ。そうだったねぇ…。」

 は一度此方を見た後、虚空を見詰めてぽつぽつと呟く。
きっと遠い記憶を再生しているのだろう。
其れはきっと、まだボクと彼女が一緒に過ごした日々。
同じ様にボクもその記憶を再生しようとした…−刹那、嫌な予感がする。

「ぁ、…、もしかして…−、」

 出来るだけ自然にと思っていたけど…多分、今ボクの表情は、確実に曇ってしまった。
この話題を中断させるべきか、咄嗟に判断出来ない。
それこそ不自然だ。
そんな心中を察したのであろうは、ボクに向かってにっこりと微笑む。

「良いんだよ、了。別に大した事じゃないもの。」

 取り分け困るでも、動揺するでも無く、後ろ手に微かに首を倒し努めて平静にボクに笑い掛ける。
そしてそのまま、頭上に疑問符が上がる面々に向き直り、笑顔のままさらりと話す。

「私と瀬人はね、小さい頃同じ施設に居たの。」
「施設ぅ?どーゆー事だ?」
「あっ、それってもしかして…。」

  飲み込めない城之内君の素っ頓狂な声と、一早く理解した遊戯君の沈んだ声が酷く対照的だ。
遊戯君は一瞬驚き、少し困った様な…寂しそうな表情になる。
良い人なのだ。彼は。

「うんっ。私両親が居なくて。…えへ。」

 少し照れる様な、恥じ入る様な、そんな様子で言う。
頬を指先で掻く様にしながら彼女は、悟られぬ様静かに周囲を窺って居る。
皆の出方を、次に発せられる言葉を、極度の緊張と共に待っているのだろうなと思った。
それは、顔に当てられた手とは反対の、だらりと垂れ下がった腕の先の掌が白くなる程に、力一杯握られていたから。
 ボクは失念していた。
久し振りの再会に舞い上がっていたのだろうか?
もっと早く思い出せていれば…。
別に隠しておくような事ではないけれど…物事にはタイミングと言うものも大事だという事くらいは、ボクにも解る。
申し訳無くて…仄暗い気持ちになる。

「ああぁでも!本当に!別にだから何だって訳でも無いんだけど!!」

 この場を沈ませまいと必死なのか、大慌てと言った様子で手を振りながら言う。
そんな彼女を見ていると、其の笑顔が、心に痛む。
ボクは如何すれば良いのか、如何したら良いのか、如何する事が最善なのか解らない。
すると、不意に場違いな程に明るい声。

「なぁんだ!そんな事かよ!!ん事ぁ気にすんなって。オレん家だってオフクロは居ねぇしよ。それに、此処に居る奴等は細かい事は気にしねぇ!!」
「ちょっと城之内、みんな纏めて大雑把みたいな言い方しないでよ。」

 何時もと変わらず、にかっと歯を見せ笑う城之内君に、杏子ちゃんが「もうっ」と腕を腰に当て膨れる。
だがそれも一瞬で、直ぐににこっとに笑い掛ける。

「うんっ。でも…まぁ、その通りね!」

 皆が一斉に「うん」と頷く。
…そうだ。今ここでを囲んでいるのは他の誰でもない。彼等なんだ。
心の底から、本当に良かったと思う。

「…ありがとう…。本当は少し心配だったんだ…何か言われるのかなとか…。でも…良かったぁ!」

 少し赤くなり、泣き出しそうな笑顔で「えへへ…」と、くすぐったそうに笑う。
…やっぱり可愛いな…。
ボクはその時、確りとへの想いを確信した。










20090808 加筆修正。