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Dream Story
- Les autres me
- 01.【Premonition】 02.【Reunion / Confusion】 03.【Enchante】 04.【Avis】 05.【Pause-temps】 06.【panier-repas】 07.【l'heure du dejeuner】 08.【Apres l'ecole】 09.【Burger World】 10.【Regle】 11.【auto haine】 12.【sermonner】 13.【Maniere】 14.【Dans la Accueil】-Si mon- 15.【Dans la Accueil】-Si Ryou-
- 16.【La privation de sommeil】
- ⇒+ remise +
- ⇒+ aller a TEXTE +
- ⇒+ aller a principal +
動物園のパンダとは…きっとこう言う気分なんだろうか…?
私は、今、囲まれている。人だかりに。
先生に言われ座った、廊下寄りやや後方の私の座席の周りは、ちょっとしたお祭り会場になっていた。
HR終了のチャイムと共に退室した先生を見届けた瞬間、数人の女子が凄い速さで私の席を取り囲む。
怯んだ私はその場から動く事が出来ずに、座ったまま、彼女達の言葉を浴び続けた。
皆同じ様な事を口々に言って居たかと思えば、刹那ばらばらに違う事を聞いたりしてくる。
ちょっと待って。私は聖徳太子ではないのだよ。
助けを求め友達の輪の中に居る了に視線を向けてみるが…案の定、目が合っても手をひらひら振っているだけで動かない。
きっと…面倒なんだろう…。
瀬人は瀬人で…ニーチェだか何だかよく判らないけれど、角で殴ったら人でも殺せそうな分厚い本を読み耽っていて、完全に我関せず。
私のその動きを敏感に察知した周囲の女の子達は、先程よりも更に勢いを増し、頻りに何か囃し立ててくる。
うわぁーいなんでこんなことになってるんだろーわたしーがんばれー。
いい加減…中々に…疲れるぞ。これは。
囲まれた閉塞感。大きな声で一方的に喋り続けられる圧迫感。
少しずつ、気分が悪くなってくる。
体中の血液が下へ下へと溜まっていく様な、貧血にも似た嫌な感覚。
湧き上がるのは怒りではなく、諦め。
現状から逃げる様に、私は独り嘆く。
転校初日。多少は覚悟してたけど…まさか初っ端からこんな事になるなんてなぁ…。
「よぉ!えぇっとぉ…ちゃん…だっけ?」
唐突に呼び掛けるアルト。
今私を取り囲む彼女達とは明らかに異質な少年の声。
城壁の様に塞がれた周囲を見回してしるが…声の主は見当たらない。
…一体…誰が…?
ふと目の前の城壁が裂ける。
人を掻き分ける様にしてにゅっと現れたのは、金髪で悪戯っ子の様に笑う男の子。
いきなり見知らぬ彼から下の名で呼ばれ、驚いた私は上手く言葉を返せない。
すると私を囲っていた群れは口々に邪魔しないでとか何とか騒ぎ出す。
いやもう是非。して下さい。盛大に。うん。是非に是非に。
「うるせぇっ!」と軽く威嚇した彼だったが…残念ながら、私はこう言う事に関すると、驚く程に女子が強くなる事を知っている。
可哀想に彼は、逆に彼女達の怒りを買ってしまい畳み込まれ、また人の中に沈んでしまい見えなくなった。
嗚呼。貴方は私の救世主ではなかったのか…!
そう嘆いたのも束の間、何時の間にか復活した彼は負けじと私の机の淵に腕を掛け、這い上がってくる。
「良いから来いよっ!」
「ぇ、え?えぇっ!?」
彼は周りを全く気にする素振りもさせずに私の手を引いて、いとも簡単にその場から私を連れ出した。
…………助かった………本当に、助かった。
きっと彼が来てくれなければ、授業開始迄の間ずっと状況は変わらなかっただろう事は想像に容易い。
それを思った私は、先程の悪夢から抜け出したにも係わらず、更にぐったりとした。
「あのっ、ありがと…ちょっと困ってたの…、えー…っと…?」
そんな思いを振り払うかの様に、掴まれたままの手を軽く引きお礼を述べ様とした私だったが、歯切れ悪く語尾が消えてしまう。
色々な事が唐突にやってきて、順序が滅茶苦茶になっている。
例えば…私は、私を助けてくれた筈の、彼の名を知らない。
上手く二の句の継げない私を不思議に思ったのか、彼は立ち止まり振り返る。
近くで見上げた少年は長身で、本来ならば端整なのであろう筈の顔は、何とも愛嬌のある笑みを作る。
「ん?あぁ、んな事は気にすんなって!あ、オレは城之内。城之内克也だ!!」
眩しいくらいにニカッと笑う城之内君に、さっきまでの息苦しさが嘘の様に、肩から力が抜ける。
此処に来てから私は、初めて気を緩める事が出来た。
朝からずっと緊張していて、そろそろ吐けるかと思って居たところだ。本気で。
城之内君が何故私を連れ出してくれたのかは解らないが、私は今の自分の気持ちを素直に伝える。
「ありがとう、城之内君。」
漸くきちんと礼を述べる事が叶った私は、彼につられて自然と笑みが零れる。
先程よりも幾分か和らいだ笑みを浮かべた城之内君は、もう一度私の手を取り何処かへと真っ直ぐに向かって行く。
その先には数人が集まっており、和気藹々と談笑していた。
何かが引っ掛かり、もう一度その人達の顔を順に見る。
背の高い男の子、楽しそうに笑う女の子、その子に何かを説明している小さな男の子、それに何か意見している…了?
そう。その中に、了が居た。
城之内君が軽く手を上げ、「よぉ!」と声を掛けると皆此方を振り返る。
勿論、了も。そして視線が絡む。
極度の緊張からの解放。抜けた力。気が緩み過ぎたせいだろうか?
私は自分でも気が付かない内に、それらと一緒に頭の中の"何か"も一緒に弾き飛ばしてしまった様だ。
「…ちょ…ちょっと了!!何で助けてくれなかったの!?がっつり目合った上に手まで振ってくれてなかった!?こう、何か、助けてくれても罰は当たらないと思うよ!?誰のせいでこうなったの、誰のせいで!!こう…もうちょっと、こうさ!!困ってる人には手を差し伸べるとかさ!人を思いやる気持ちとかさ!!!大切にしよう!?日本人として!!ね!!?」
まだ自己紹介もしていないのに、私は城之内君や周りの子達を置き去りにしたまま、旧知の友に勢いだけで捲くし立て不平をぶつける。
並べた非難の言葉をおたおたしながら了にぶつけた私は…、残念ながら、さぞかし滑稽だった事だろう。
まるで自分から離れて迷子になってしまった子供が大人のせいにする様に。
自分でも、これが責任転嫁だと言う事はすっかり解りきっているのだが…それでも止められなかった。
其れ程に、心細かったのだ。
狼狽する私とは逆に、了は「えぇー?」とか「ふふっ。」とか言いながら呆けた顔をしている。
…変わらないな…。本当に了なんだ…。
何だか…怒ってるんだか、安心したのか、自分でもよく解らなくなり、私は小さな溜め息と共に苦笑した。
了のその笑い方は記憶の中のそれと寸分違わず、私の動揺を吹き飛ばすには十分だった。
「へぇー…二人共本当に知り合いだったのね。」
輪の中に居る肩先で切り揃えた亜麻色の髪の子の言葉で、危うく思い出に浸り切ってしまう所だった私は現実に帰る。
少し驚いた様な彼女の大きな目は、とても利発そうだった。
それに対し私のなんと愚鈍な事か…。
「あ、うん…はい、えぇーと…?」
上手く二の句が継げずにもたもたしている私に、彼女はこの場の面々を手短に紹介してくれる。
彼女は真崎杏子ちゃん。
本田ヒロト君。武藤遊戯君。
それにさっきの城之内克也君。
「貘良君の事は大丈夫よね?」
「ええ!それは…もう…。」
言いながらじと目で睨むが…視線の先の了は相変わらずほやーっとしたまま「ん?なぁに?」とか言っている。
…もう…。怒るのも馬鹿らしくなる。
20090808 加筆修正。