Short Story
A deadly week
【何もかも真っ白な月曜日】 【殺した火曜日】 【泣き出したい水曜日】 【甘すぎる木曜日】 【飛び降りた金曜日】 【それでも廻る土曜日】 【全てが終わる日曜日】


⇒+ remise +
⇒+ aller a TEXTE +
⇒+ aller a principal +


朝起きて朝食を摂る。
身支度をして登校する。
つまらない授業を聞いて
休み時間にはみんなでくだらない話をする。
放課後に街へ出て
またふざけ合って
みんな笑っていて
ボクも笑っている。
面白い。
楽しい。
ボクがずっと欲しかった友達。
何時も何時までも
ずっとこのままで
続いたら良いのに。
本当にそう思うよ。
不安?
そんなものは無いよ。
だってみんな仲間だから。


日が落ちて家路に着く。
一人、また一人と減っていく。
最後に残った二人。
ボクともう一人のボク。
…いいや違う。
だって彼は-

ふと会話が途切れる。
中途半端な沈黙。
宙ぶらりんな空気。
まるで今の

「-ボクみたい…」
「え?なぁに?」

足が止まってしまう。
駄目だ。
やめてよ。
聞いちゃ駄目だ。
言ってはいけない。
だって彼は-
でも
もしかしたら
きっと彼も

「ねぇ遊戯くん。」
「…もう一度…会いたいかい?」
「もう一人の、キミに。」

元々大きな目が見開かれ
そのまま眼球が落ちて仕舞うんじゃないかと心配になる。

「…如何して?」

少し困った様に笑う彼。
ボクは今、一体どんな顔をしているのだろう。
彼は少し首を捻り、やはり困った様に唸りながらぽつりぽつりと言葉を紡ぐ。

「…会いたく無いって言ったら嘘になるけど…」
「でもボクはこれで良かったと思ってるから。」
「もう一人のボクはもう一人のボクの居るべき場所に帰っただけなんだぜ。」
「もう会えないのは…少し寂しいけどね。」

「そっか。そうだね。」

ボクは
上手に笑えているだろうか?

曲がり角。
ボクは別れを告げて踵を返す。
また明日。
確かそんな事を言った気がする。
段々歩が早くなる。
息が切れる。
少し苦しい。
でも止められない。
止まっちゃ駄目だ。
走って。
走って走って。
玄関のドアを乱暴に開ける。
傾れる様に転がり込む
リビングのドアを開けた所で
本当に転んだ。
その瞬間

堰を切った様に零れる嗚咽。
聞かなきゃ良かった。
言わなきゃ良かった。
解ってたのに。
解っていたのに。
何を期待していたんだ。
だって彼は
彼はちゃんと

お別れをしたんじゃないか。

もう一人の遊戯くんはちゃんと
もう一人の遊戯くんの居場所に帰ったんじゃないか。
解ってたじゃないか。
ボクも見てたじゃないか。
みんなで見送ったじゃないか。
じゃあ

じゃあ

もう一人のボクは?
何処に行ったの?

誰にも見送られず
独りで消えて
何処に行ったの?

ねぇ

ねぇ

今もキミの傍には

誰か居てくれているのかい?






『泣き出したい水曜日』